本研究の目的は、全身麻酔薬の免疫抑制作用と脳保護作用への影響を明らかにするものであった。このために、1)吸入麻酔薬であるイソフルラン、セボフルラン等の全身麻酔薬の脳保護作用と炎症反応抑制の関連性に関する培養細胞による検討 2)マウス脳梗塞モデルを用いた脳梗塞サイズや機能的予後に与える影響の検討 3)脳内で主に免疫防御を担っているミクログリア機能に対する麻酔薬の影響の検討を行う予定であった。 今回の研究は九州大学医学部動物実験委員会倫理規則に則り、動物実験倫理委員会の承認を得た上で施行する予定であったが、保有している実験室の管理及び設備の問題から、動物実験の承認を得ることができなかった。既に同様のモデルを使用して動物実験を行っている研究室と連携し、モデルの検証、実験を行っていくことも検討したが、同様のモデルを使用している研究室がなく、実現が困難であった。しかし、平成27年度後半になって研究室の整備が整ったため、動物での検討に着手した。当初の計画では予定していなかったが、基礎研究に遅れを生じたため、臨床データの収集も行った。
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