研究課題/領域番号 |
24592346
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
恒吉 勇男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90301390)
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キーワード | 血管反応性 / ショック / ホルモン / 敗血症 |
研究概要 |
①ショック血管におけるMyogenic response反応に関する研究:妊娠マウスの分娩に伴って摘出した臍帯動脈の血管反応性を検討した結果、臍帯動脈は血管内圧の変化に対して強いMyogenic response 反応を惹起することが判明した。今後、このMyogenic response反応を生じるメカニズムに関してさらなる研究を継続したい。②敗血症ショック時の血管反応性に関する研究:ヒト血管を用いて研究を行う予定としていたが、検体の収集があまりうまくいかず、研究は停滞気味である。今後、より積極的なアピールにより検体の安定的確保を目指したい。 ③アンギオテンシンのタキフィラキシス反応に対するヘパリンの拮抗作用についての研究,④動脈グラフトのスパズムの検討ならびに血管反応性の研究:現在、当大学病院での虚血性心疾患に対する冠動脈再建術が減少しており、グラフトの遺残を入手することが困難となり、実験が停滞している。今後は牛や豚などの冠動脈を用いた動物実験に切り替える必要性がある。検討課題として残されている。 ⑤内因性血管作動性ホルモンとショック時の活性変化について:内因性ホルモンであるアンギオテンシンに関して、人工心肺前後での変化について鹿児島大学麻酔科教室との共同研究を推進する。研究内容に関しては、すでに倫理委員会を通過しており、近日中に実施できる体制が整っている。 研究報告実績として、血管作動性に関する麻酔科専門医をターゲットとした専門書において、ノルアドレナリンとバソプレシンの血管反応性と血管収縮のメカニズムに関して書籍を奏上した(研究発表 図書欄参照)。また、麻酔科学を学ぶ医学生のために麻酔薬およびオピオイドの生体反応性、作用機序、および臨床効果に関する書籍を奏上した(研究発表 図書欄参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教科書の執筆はおおむね期限内に終了したが、血管反応性に関する研究は、研究室の再整備等の影響もあり遅滞している。研究室の再整備が終わり次第、精力的に推進したい。
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今後の研究の推進方策 |
アンギオテンシンのタキフィラキス反応に対するへパリンの影響について: アンギオテンシンは、強いタキフィラキスを生じ、血管収縮作用が減弱することを報告しているが、そのメカニズムは明確ではない。近年、興味深い研究として、このアンギオテンシンのタキフィラキスがへパリンによって抑制されることが報告されている。しかしながら、ヒト血管においては、その反応性に関しては未だ検討されていない。へパリンが、アンギオテンシンの収縮に関与するか否かを明らかにすることは、へパリンが臨床で頻用する薬剤であることからも特に重要である。今後、へパリンが、アンギオテンシンのタキフィラキス反応を抑制するのか等尺性張力実験で検討し、さらにその効果が臨床使用量のへパリンで発現するか検討する。 動脈グラフトのスパズムの検討ならびに血管拡張薬の効果に関する検討: 一般的に、CABGで用いられる動脈グラフトは、内胸動脈、橈骨動脈、胃大網動脈であるが、各々の血管は、弾性動脈、筋性動脈、弾性筋性の中間動脈といった異なった性状を持っている。これらのことは、薬理作用や生理学的反応が各々のグラフトで異なることを示唆している。本実験系を用いて、これら3種類のグラフトに関する収縮・弛緩作用を検討し、臨床的上問題となるグラフトスパズムのメカニズムと治療・予防法に関するデータを集積する。 内因性ホルモンの手術およびショック時の活性と動態に関する研究: 血管反応性に影響を与える生体内ホルモンの麻酔やショック時の変動に関して検討を加える。具体的テーマは以下のものとする。血管作動性ホルモン分泌の変化を解析し、麻酔・手術侵襲がホルモン分泌に及ぼす影響について検討する。麻酔時に糖負荷テスト等を通じて耐糖能の変化を検討する。あわせて、代謝に関連するホルモンとの分泌動態を比較し,その影響を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
Muse Cell Analyzerを購入したため 消耗品,薬品関係に使用予定である。
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