研究課題/領域番号 |
24592351
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
今井 伸一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20213209)
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キーワード | 複合性局所疼痛症候群 / CRPS / メタロチオネイン / 神経傷害性疼痛 / 酸化ストレス |
研究概要 |
複合性局所疼痛症候群(CRPS)は骨折、組織障害や神経損傷などを契機として発症する慢性疼痛症候群であり、灼熱痛、痛覚過敏、アロディニアのような感覚障害に加えて、血管運動障害や浮腫・発汗機能障害、運動・栄養障害の症状を呈する。しかし、CRPSの病態生理にはいまだに不明な点が多く存在し、そのため抜本的な治療法もないのが現状である。そのため、我々はプロテオミクスの手法を用いてCRPS関連タンパク質の同定を試み、CRPSの患者の神経ではコントロールの神経に比べてメタロチオネイン(MT)が著しく減少していることを見出した。本研究ではMTと疼痛の関連のさらなる検討を行った。神経傷害性疼痛モデル動物である坐骨神経部分結紮ラットにリコンビナントMTを投与したところ、von Freyテスト(触覚性アロディニア)及びHargreavesテスト(温熱性痛覚過敏)のいずれのテストにおいても対照群と比較して疼痛行動の有意な減少が認められた。また、行動評価後に損傷坐骨神経においてMTの免疫染色を行ったところ、結紮部遠位において対照群ではMTの著しい減少が認められたが、投与群ではわずかに減少が観察されるだけであった。さらに投与群では神経再生のマーカーであるGAP43が結紮部遠位で増加していることや炎症マーカーであるGFAPは結紮部近位で減少していることも観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
坐骨神経部分結紮ラットにメタロチオネインを投与することにより疼痛行動が改善することをvon Freyテスト及びHargreavesテストにより確認できた。また、坐骨神経部分結紮ラットでは時間経過に伴いメタロチオネインの発現量が減少していくこと、その減少がメタロチオネイン投与により改善することを見出した。さらに、結紮部周辺での神経再生マーカー及び炎症マーカーが変化することも見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、メタロチオネインの疼痛行動に対する効果を検討するためにメタロチオネインの効果の用量依存性及び疼痛症状出現後のラットに対するメタロチオネインの効果を検討する。
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