研究課題/領域番号 |
24592352
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
紙谷 義孝 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90381491)
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研究分担者 |
山下 直也 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40508793)
船越 健悟 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60291572)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経因性疼痛 / 神経ガイダンス因子 / 疼痛メカニズム / シグナルパスウェイ / NMDA受容体 |
研究概要 |
平成24年度はCCIラットを用いて神経障害によって変化するSema3A signalingの下流の因子の定量を行い、CCI2週間後のラットの脊髄後角においてはNR2Bの増加、CDK5の減少が見られた。Sema3Aの髄腔内投与は、CRMP2およびそのリン酸化フォームを著増させ、神経障害によるCDK5の減少, NR2Bの増加を抑制させることが確認された。また、組織学的検討では、CDK5は障害側の脊髄後角での発現が増加し、NR2BはCCIラットで両側の脊髄後角に発現が認められるが、Sema3Aを髄腔内投与したラットではCDK5の障害側での発現増加やNR2Bの発現量が減少していることが明らかになった。生化学的実験と組織学的実験の結果が一致しないことについては今後検討を重ねる必要がある。今後はSema3Aの下流物質であるCRMP2との関連が報告されている電位依存性カルシウムチャネルのCCIおよびSema3A髄腔内投与における脊髄・DRGでの発現の変化を検討する予定である。 一方、パクリタキセル(Ptx)投与による神経因性疼痛モデルラットを用いて、脊髄及びDRGにおけるNGF及びその受容体であるTrkAのmRNAおよびタンパク発現量を定量的PCRおよびウエスタンブロッティングで評価した。Ptx投与ラットではコントロールラットと比較して、DRGではNGF及びTrkAが、脊髄においてはNGFの発現量の増加が認められた(DRG:NGF 1.4倍、TrkA 3.2倍、脊髄:NGF 1.4倍、TrkA 1.2倍)が、定量的PCRにおいてはいずれの組織においてもmRNAの発現量は変化しておらず、転写後修飾もしくはタンパクの分解・軸索輸送の変化がTrkAタンパクの変化に関連しているのではないかと推測された。現在はTrkAの機能阻害によって疼痛が緩和できることを確認する実験を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sema3Aによる神経因性疼痛抑制作用にその受容体下流の分子の発現の増減が関与することを示唆する結果が得られたことで、本研究の端緒はつかめたと考えている。今後はシグナル伝達のミッシングリンクを明らかにする研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
疼痛におけるSema3Aシグナルパスウェイの関与については、まず神経障害性疼痛モデルである程度のアウトラインを明らかにし、ついで薬剤性疼痛モデルでも神経障害性疼痛モデルと同様の減少が起こっているのかを明らかにするというステップで行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究機関を移動したため、現在の施設にはない、本研究に必要な機器を他研究者と共同購入する予定である。その他、生化学実験、行動実験に習熟した研究補助者を雇用する予定である。
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