【ラット炎症関連遺伝子の定量的PCR】ラット椎間板において、炎症関連遺伝子の発現を検討する準備として、カラゲニン誘発性炎症における炎症関連遺伝子の発現を検討した。ラット左後肢にカラゲニンまたは生理食塩水を皮下注射した。3時間後に左後肢を採取し、凍結保存した。後肢からmRNAを抽出し、逆転写反応後、リアルタイムPCR法を用いて、炎症関連遺伝子とGAPDH遺伝子の発現を相対定量した。生理食塩水皮下注射群に対して、カラゲニン皮下注射群では、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)、microsomal PGE synthase-1 (mPGES-1)、prostaglandin I synthase (PGIS)、interleukin-1beta (IL-1beta)、IL-6のmRNAが有意に増加した。この解析法を下記の椎間板穿刺モデルに適用する。 【ラット椎間板穿刺モデル】前年度までは正常なマウス椎間板において、プロスタグランジン合成系の酵素の発現を検討してきた。本年度は正常なラットおよび、椎間板穿刺の処置を施したラットにおいてプロスタグランジン系酵素および炎症性サイトカインの発現を検討した。正常なラットではCOX-1は線維輪および髄核に発現していたが、その発現強度はマウスと比較して弱い。またCOX-1は椎間板に隣接する後根神経節の神経細胞に高発現していた。COX-2は髄核に低レベルで認められた。L4とL5の間の椎間板を26G注射針で穿刺し、一定時間後にインドメタシン30μMを含むPBSを左心室から潅流した。椎骨・椎間板を採取し、凍結保存した。この標本でプロスタグランジン系酵素、炎症性サイトカインを免疫組織化学および定量的RT-PCRで検討している。
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