研究課題/領域番号 |
24592355
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
森 隆 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00336786)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / インビボパッチクランプ法 / 抗うつ薬 / 抗痙攣薬 / 予防効果 |
研究概要 |
本研究は、神経障害性疼痛の予防法を見出すことを目標に、疼痛緩和治療に用いられる抗うつ薬および抗痙攣薬等の薬物による予防効果とそのメカニズムを、電気生理学的実験と行動実験とを用いて調べる。今年度はまず最初に、神経障害性疼痛において生じる可能性が示唆されている脊髄後角膠様質神経細胞の細胞内外陰イオン濃度勾配変化について検討を始めた。ラット神経傷害性疼痛モデル(Chung モデル)を作成し、ウレタン麻酔下に脊髄後角第一層の神経細胞に、グラミシジンDを用いたperforated in vivoパッチクランプ記録を行った。長時間の安定した記録をすることに難渋し、現時点では1つの記録のみで塩素イオン勾配変化を示すIPSCs逆転電位の軽度脱分極側へのシフト(-40 mV付近)の確認ができた。グラミシジンによるperforated形成には約30分を要するため、今後も記録改善をすすめて検討を行う。併行して薬物による神経障害性疼痛予防効果を調べる行動実験を開始した2週間持続投与可能な微量注入器を用いた。モデル作成1周間前に薬物を満たした微量注入器を腹腔内に留置し、生理食塩水投与群と薬物投与群で、微量注入終了後の機械的アロディニアの程度をUgo Basile社のdynamic plantar aesthesiometerを用いて評価した。現時点までに、デクスメデトミジン、トラマドール、スタチンについて検討した。デクスメデトミジン、トラマドールには予防効果は認めなかった。プラバスタチンで軽度予防効果を認めており、効果については投与量等を変えて検討する必要がある。引き続き、抗うつ薬、抗痙攣薬の予防効果を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Perforated in vivoパッチクランプ記録に難渋した。グラミシジンDによるperforated形成には約30分を要するため、1時間近い安定した記録をすることが条件となってくる。この1年間、1時間近い安定したperforated in vivoパッチクランプ記録に難航したため、予定していた研究計画から遅れた。行動実験には着手できたが、電気生理学的研究の遅れの影響により、計画していた薬剤についての検討は進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、行動実験と電気生理学的実験を並行して行うことで、効率的に研究を進められるように実験スケジュールを組む予定である。In vivoパッチクランプ記録は、文献的にも長時間記録は可能で、専門に行っている他施設でも1-2時間の記録は行われている。In vivoパッチクランプ記録にperforated記録を組み合わせることにより、難易度が増していると考えられるが、生理学教室と他施設に指導をいただきながら、今後も記録改善をすすめて検討する。行動実験については、プロトコールが確定したので、計画している薬剤についてすみやかに検討を進めていく。
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