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2013 年度 実施状況報告書

ヒストンによる末梢感作を介した慢性疼痛制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24592356
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

木口 倫一  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90433341)

研究分担者 小林 悠佳  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20511562)
岸岡 史郎  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
深澤 洋滋  関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (70336882)
キーワードヒストン / 神経障害性疼痛 / マクロファージ / サイトカイン / ケモカイン / エピジェネティクス / CCL3 / CCL8
研究概要

神経障害性疼痛の病態生理は慢性神経炎症と密接に関連しており、サイトカイン・ケモカインなどの液性因子を介した細胞間クロストークが重要な役割を果たす。本研究では神経障害性疼痛責任分子の発現に及ぼすヒストン修飾の影響に着目した。
マウスに坐骨神経部分結紮を施すと、傷害部位にマクロファージなどの免疫細胞が浸潤し、それに伴う長期的疼痛行動が認められた。マイクロアレイにより傷害坐骨神経におけるケモカイン発現変動を網羅的に解析すると、これまでに慢性疼痛との関連が報告されているCCL2、CCL3の発現増加が認められた。またそれらの受容体であるCCR1、CCR2およびCCR5の発現増加も認められ、これらのケモカインリガンドならびに受容体はいずれもマクロファージに発現することが免疫染色より示された。これら遺伝子のプロモーター領域におけるヒストン修飾をクロマチン免疫沈降により評価したところ、転写促進に関与するヒストンH3のK9アセチル化およびK4トリメチル化が亢進していた。また新たに、CCL8が傷害部位のマクロファージにおいて認められ、CCL3同様、ヒストンH3修飾を介して長期的に発現増加することを見出した。K9アセチル化またはK4トリメチル化ヒストンH3はともにマクロファージに多く局在していることも明らかになった。
本年度までの結果をまとめると、神経傷害後に浸潤するマクロファージではヒストンH3の修飾変化が生じている。そのエピジェネティック制御に基づく種々のケモカイン発現増加は神経障害性疼痛の末梢性分子基盤であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究期間を通じて、慢性疼痛の病態生理におけるヒストンの役割を明らかにすることを目的としている。特に核内ヒストンの役割について顕著かつ重要な知見が得られたことより、それに重点をおいて本年度の検討を進めた。新たな知見を踏まえ、マクロファージを核とした慢性疼痛の末梢性分子基盤におけるヒストンの役割が明らかになりつつある。

今後の研究の推進方策

最終年度は、これまでの結果を踏まえて慢性疼痛の末梢性分子基盤を総合的に検討していく。具体的にはヒストン修飾に関連したマクロファージのフェノタイプ変化や、それに続く中枢レベルでの機能変化に着目する。さらに細胞外ヒストンの役割についても検討を行い、神経障害性疼痛治療標的としてのヒストンの可能性を提示する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Vascular endothelial growth factor signaling in injured nerves underlies peripheral sensitization in neuropathic pain.2014

    • 著者名/発表者名
      Kiguchi N, Kobayashi Y, Kadowaki Y, Fukazawa Y, Saika F, Kishioka S
    • 雑誌名

      J Neurochem

      巻: 129 ページ: 169-178

    • DOI

      10.1111/jnc.12614.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 傷害末梢神経におけるヒストン修飾は神経障害性疼痛を調節する.2014

    • 著者名/発表者名
      木口倫一、岸岡史郎
    • 雑誌名

      Pain Research

      巻: 29 ページ: 9-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epigenetic upregulation of CCL2 and CCL3 via histone modifications in infiltrating macrophages after peripheral nerve injury.2013

    • 著者名/発表者名
      Kiguchi N, Kobayashi Y, Saika F, Kishioka S
    • 雑誌名

      Cytokine

      巻: 124 ページ: 666-672

    • DOI

      10.1016/j.cyto.2013.09.019.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pharmacokinetic evidence for the long-lasting effect of nor-binaltorphimine, a potent kappa opioid receptor antagonist, in mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Kishioka S, Kiguchi N, Kobayashi Y, Yamamoto C, Saika F, Wakida N, Ko MC, Woods JH
    • 雑誌名

      Neurosci Lett

      巻: 552 ページ: 98-102

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2013.07.040.

    • 査読あり
  • [学会発表] 傷害末梢神経におけるヒストン修飾は神経障害性疼痛を調節する

    • 著者名/発表者名
      木口倫一、岸岡史郎
    • 学会等名
      第35回日本疼痛学会
    • 発表場所
      さいたま
  • [学会発表] 神経障害性疼痛における末梢性VEGFシグナルの関与

    • 著者名/発表者名
      木口倫一、小林悠佳、門脇友維、雑賀史浩、岸岡史郎
    • 学会等名
      第33回鎮痛薬・オピオイドペプチドシンポジウム
    • 発表場所
      神戸
  • [学会発表] 神経炎症を標的とした神経障害性疼痛の末梢性調節

    • 著者名/発表者名
      木口倫一、小林悠佳、雑賀史浩、岸岡史郎
    • 学会等名
      第2回ニューロカンファレンス和歌山
    • 発表場所
      和歌山
  • [学会発表] IL-4は炎症性マクロファージおよび神経障害性疼痛を抑制する

    • 著者名/発表者名
      木口倫一、小林悠佳、雑賀史浩、前田武彦、岸岡史郎
    • 学会等名
      第87回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      仙台
  • [学会発表] 神経障害性疼痛治療標的としての末梢ニコチン性アセチルコリン受容体

    • 著者名/発表者名
      岸岡史郎、木口倫一、雑賀史浩、小林悠佳
    • 学会等名
      第87回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 招待講演
  • [備考] 和歌山県立医科大学医学部 薬理学教室

    • URL

      http://www.wakayama-med.ac.jp/dept/igakubu/160416/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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