研究課題/領域番号 |
24592358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
下山 恵美 帝京大学, 医学部, 教授 (10206253)
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研究分担者 |
下山 直人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40196572)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 化学療法 / 急性神経障害 / 慢性神経障害 / オキサリプラチン |
研究概要 |
オキサリプラチン15mg/kg単回投与により、15°Cの温度でのcold allodyniaが前肢に出現し、数日の経過で寛解した。後肢では同症状はみられなかった。これは患者でみられるオキサリプラチンによる急性神経障害の症状に匹敵すると考えられた。2 mg/kg及び5mg/kgでの同症状の発現はみられなかった。温度選択試験ではオキサリプラチン15mg/kg投与マウスはコントロールマウスと比べ10°C及び15°Cの温度を避ける傾向を示し、この温度域を感受するTRPA1受容体の関与が示唆された。四肢に対する15°Cの刺激によりC7-T1の脊髄後角にc-fosを発現する細胞がみられたが、L4-5ではみられず、後肢にcold allodyniaが出現しなかったことと一致した。機械刺激に対するアロディニアは1週間に一回の繰り返し投与により徐々に出現・増強し、投与を中止しても持続した。これは患者でみられるオキサリプラチンによる慢性神経障害の症状に匹敵すると考えられた。15mg/kgの繰り返し投与では3週間で機械刺激に対するアロディニアがみられたが、5mg/kgでは9週間投与でもみられなかった。このことはオキサリプラチンによる慢性神経障害には総投与量より、1回投与量の影響が強いことが示された。オキサリプラチン繰り返し投与マウスの末梢神経や脊髄後根神経節の電子顕微鏡による観察では異常な所見はみられず、オキサリプラチンによる慢性神経障害は神経変性を伴わないことが示され、機能障害である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルの作成は順調に進行しており、モデルのcharacterizationもほぼ終了した。
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今後の研究の推進方策 |
作成できたモデルを利用し、有効である可能で可能性がある薬物をスクリーニングする。動物実験で有効な薬剤ですでに臨床応用されている薬剤に関しては臨床研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね、動物実験の消耗品と研究発表のための旅費に用いる。
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