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2014 年度 実施状況報告書

オキサリプラチンによる難治性神経障害性疼痛の機序解明および治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24592358
研究機関帝京大学

研究代表者

下山 恵美  帝京大学, 医学部, 教授 (10206253)

研究分担者 下山 直人  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40196572)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード化学療法 / オキサリプラチン / 末梢神経障害 / トラマドール
研究実績の概要

本研究で作成したオキサリプラチン慢性神経障害性疼痛モデル(慢性OXモデル)おける機械的アロディニアに対して、鎮痛薬、鎮痛補助薬の効果を検討した。オピオイドはモルヒネ、フェンタニル、トラマドール、SS02の効果を比較した。比較は、オピオイドの鎮痛効果評価で用いられるtail flick testにおける等鎮痛効果量(ED50の1倍、2倍量)を比較した。フェンタニルは他のオピオイドに比べ有意に鎮痛効果が低かった。SS02はオピオイド効果に加え、ノルアドレナリン再取込み阻害作用を有するため、高い鎮痛効果が期待されたが、モルヒネとの間に有意差はなかった。トラマドールは、弱オピオイドであるが、ノルアドレナリンおよびセロトニン再取込み阻害作用を有し、tail flick testにおける等鎮痛効果量他のオピオイドに比べ有意に鎮痛効果が高かった。また、トラマドールのオピオイド効果をオピオイド拮抗薬であるナロキソンでブロックした場合、tail flick testでは鎮痛効果が消失したが、慢性OXモデルでは鎮痛効果は減弱したものの、残存し、その効果はノルアドレナリンおよびセロトニン再取込み阻害作用よるものと考えられた。鎮痛補助薬として、デュロキセチンとプレギャバリンの慢性OXモデルにおける効果を検討した。デュロキセチンは一定の効果は見られたが、高用量でも、機械的アロディニアの完全な消失はなかった。これに比べ、プレギャバリンは用量依存性に鎮痛効果を示し、高用量では機械的アロディニアの完全な消失がみられた。臨床において化学療法惹起性神経障害性疼痛に対して鎮痛効果の有効性が示されているのはデュロキサチンのみであるが、本研究の結果、トラマドール、プレギャバリンが有効である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オキサリプラチンによる末梢神経障害のマウスモデルを完成させ、発症メカニズムに関して一定の知見が得られた。また、本モデルを用いて、鎮痛薬のスクリーリングのツールとして確立し、臨床で症状緩和目的で使用できる可能性がある薬剤を提案できた。

今後の研究の推進方策

オキサリプラチンによる末梢神経障害がミトコンドリア障害により発症することが示されたため、ミトコンドリア保護作用のあるペプチドにより、予防できるかを検討し、予防法の開発を進める。また、マウスモデルで有効であった薬剤の効果を、臨床試験で確認する。

次年度使用額が生じた理由

予定していたオキサリプラチンによる慢性末梢神経障害の予防法に関する動物実験が使用予定のペプチドの入手が遅れたため次年度に繰り越され、これにかかる経費が使用されなかった。

次年度使用額の使用計画

オキサリプラチンによる慢性末梢神経障害の予防法に関する動物実験における試薬、動物等に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Efficacy and Safety of Sublingual Fentanyl Orally Disintegrating Tablet at Doses Determined by Titration for the Treatment of Breakthrough Pain in Japanese Cancer Patients: A Multicenter, Randomized, Placebo-controlled, Double-Blind Phase III Trial. Int.2015

    • 著者名/発表者名
      2.Shimoyama, N., Gomyo, I., Katakami, N., Okada, M., Yukitoshi, N., Ohta, E., and Shimoyama, M.
    • 雑誌名

      J. Clin. Oncol.

      巻: 20 ページ: 198-206

    • DOI

      10.1007/s10147-014-0697-z

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Efficacy and Safety of Sublingual Fentanyl Orally Disintegrating Tablet at Doses Determined from Oral Morphine Rescue Doses in the Treatment of Breakthrough Cancer Pain2015

    • 著者名/発表者名
      1.Shimoyama, N., Gomyo, I., Teramoto, O., Kojima, K., Higuchi, H., Yukitoshi,Y., Ohta, E, and Shimoyama, M.
    • 雑誌名

      Jpn. J. Clin. Oncol.

      巻: 45 ページ: 189-196

    • DOI

      10.1093/jjco/hyu182

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [図書] 症例で身につくがん疼痛治療薬(編者:山口重樹、下山直人)2014

    • 著者名/発表者名
      下山直人、久保田敬乃、下山恵美
    • 総ページ数
      10
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2016-05-27  

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