研究課題/領域番号 |
24592360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
田上 正 東京医科大学, 医学部, 教授 (60145323)
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研究分担者 |
内野 博之 東京医科大学, 医学部, 教授 (60266476)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / スウェーデン / ミトコンドリア / 敗血症 / 肝不全 |
研究概要 |
敗血症肝不全誘発機序の基礎的解明のために、先ず敗血症モデルの作成に着手した。当初ラットJc1 Wistar 8週令ラットを実験対象動物として、全身麻酔下に開腹し、虫垂結紮後虫垂に3㎜大の穿孔部を作った。虫垂を腹腔内に戻して閉腹し、24~48時間ゲージ内にて飼育して腹膜炎から敗血症ができていく過程を観察した。 全身衰弱、立毛などの敗血症の症状を確認し、全身麻酔下に回復して肝臓を採取した。採取した肝臓をホモジネイトして遠心分離機、試薬を用いてミトコンドリアを抽出した。オロボロス社製Oxygraph-2k(O2-k(様々な細胞内のミトコンドリアの酸素消費量や活性酸素産生量を測定できる)を用いて肝臓のミトコンドリア呼吸能およびCa取り込み能からみたMitchondrial Permeability Transitionの発現を、シャムラット(対象)と比較した。 以上の実験系を繰り返したが、同様の敗血症モデル作成手術を施行しても、敗血症となるラットとならないラットがあり、予測が困難であることが分かった。開腹所見から大網による虫垂穿孔部の被覆が予想以上にうまく働いているものと推察された。そこで、実験動物をマウス C57BL/6JJe1 8週令に切り替え、やや安定した実験モデル作成ができるようになった。 この間、ピペッティングや試薬作成などの基本的な実験手技や準備について共同研究者らから指導を受けた。また東京医科大学動物実験講習会を受講し修了書 第H25-37号(平成25~27年度分動物実験計画書有効)を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
未だ初年度の目標に到達していない。 実験遂行の準備は整ってきたが、敗血症肝不全モデル作成で安定したモデルを作成できないことが分かったので、対象動物をラットからマウスに替えて安定した敗血症肝不全モデルの作成ができるようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
敗血症性肝不全誘発時の肝内での経時的なHIF2α発現の分布、局在と肝血流の経時的変動解析。第8週令の雄性マウス C57BL/6JJe1 8週令を用いて回盲部結紮+2回穿刺による(CLP)誘発敗血症性肝不全モデル(SALFモデル)を作製する。モデル作製24,48時間後(各時間とも5匹の動物を使用)に肝の凍結切片(25μm)を作製し、HIF2αを用いた免疫組織化学的解析を施行し、肝における低酸素に伴う液因子の発現や分布の相違を比較する。敗血症性肝不全誘発とMPTを介した肝内ミトコンドリア機能不全の連関解析を行う。敗血症性肝不全とMPTを介したミトコンドリア機能不全との連関解析のために、第8週令の雄性マウス C57BL/6JJe1 8週令を用いてSALFモデルを作製し、モデル作製1週間前より特異的CypD抑制剤(免疫抑制作用がない)のNIM811(10mg/kg i.p.)を投与して(CypD抑制群:対照は生食投与群とする)SALFモデルを作製し、モデル作製24時間後、48時間後(各時間・両群とも5匹のラットを使用)に肝ミトコンドリアを抽出してCa2+overloadをin vitroにて作り出し、ミトコンドリアの膨化(swelling)を計測、解析比較する。マウス肝臓からParcol法でミトコンドリア分画を抽出し蛋白定量後、25μg/mlのミトコンドリアをKCl bufferに加えてCaCl2(0-10μmol/mgprotein)を加えて520nmでlight scatteringを行いMPTに伴う肝ミトコンドリアの膨化率を測定しSLFとCyPDを介したMPTに伴うミトコンドリア機能不全との連関を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬、実験動物購入および飼育、実験必要品(吸入麻酔剤、酸素など)の購入。オロボロス社製Oxygraph-2kのメインテナンスが必要になる。 また、関連学会や研究会が国内で開催されれば参加したい。
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