研究課題/領域番号 |
24592360
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
田上 正 東京医科大学, 医学部, 教授 (60145323)
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研究分担者 |
内野 博之 東京医科大学, 医学部, 教授 (60266476)
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キーワード | ミトコンドリア / 敗血症 / 肝不全 |
研究概要 |
CLPによるマウス敗血症モデルを作成し、敗血症マウスとSham手術マウスの摘出肝臓を用いて敗血症肝臓のミトコンドリア機能の解析を行った。 【方法】1)C57bl/6JJCN週令8週の雄マウスを対象とした。5%セボフルラン全身麻酔下にCLPによって敗血症モデルを、対象としてSham手術マウスを作成した。24時間後、セボフルレン全身麻酔下に断頭し肝臓を摘出した。その際腹腔内の状況と肝臓の色調を観察した。2)摘出肝臓をIsolation Bufferの中で小片に分け被膜を丹念に除去した。Homoginization Buffer中でホモジナイズした検体(ホモジネート)と更に遠心処理を加えて抽出した肝臓のミトコンドリア(単離ミトコンドリア)の2種類を試料とした。3)単離ミトコンドリアを試料として、燐光分光光度計(Perkin Elmer/LS55)を用いてミトコンドリアのCa誘発性Swellingの状態を比較観察した。4)単離ミトコンドリアを試料としてオロボロスLEDモジュールを用いてCa取り込み能を比較観察した。5)ホモジネートを試料として、オロボロスOxygraph2Kを用いてミトコンドリア各呼吸鎖タンパクの活性を比較観察した。 【結果】1)敗血症マウスでは腹膜炎の所見が見られ、肝臓は色調が白く循環不全を思わせた。3)4)5)ミトコンドリアのCa誘発性Swellingやミトコンドリア各呼吸鎖タンパクの活性に関しては両者間に差はほとんど見られなかった。Ca取り込み能は敗血症マウスミトコンドリアはSham手術マウスに比較して僅かに低下していた。 【考察】これまでの実験結果から、CLPによるマウス敗血症モデルにおける肝臓のミトコンドリア機能低下は明確でなかった。今後呼吸鎖タンパク活性に関しては。単離ミトコンドリアについてもさらに検討を加える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスのCLP敗血症モデルに対する生存率がかなり悪く、冬場になるとCLP敗血症モデルの生存率が極端に減少した。室温低下の原因を考慮し飼育ケージの保温や暖房を導入したがそれでも変化なかった。4月以降CLP作成モデルのうち24時間後生存マウスが25~50%得られるようになった。今後モデルの安定化を得るための対策が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
CLPによるマウス敗血症モデルでは、手術後24時間の死亡率が高いのでモデル作成から実験開始までの時間についての検討が必要である。N(試料数)を増やして統計解析ができるようにする必要がある。 敗血症モデルマウスの腹腔内は腹膜炎を生じ、肝臓の色調は白く循環不全に陥っていた。ミトコンドリアのCa誘発性Swellingやミトコンドリア各呼吸鎖タンパクの活性には両者に差はほとんど見られなかったが、Ca取り込み能は敗血症マウスでSham手術マウスに比較して僅かに低下していた。まだNが少ないので結論は出せない。ミトコンドリア各呼吸鎖タンパクの活性についてはホモジネートを試料にしているために、単離ミトコンドリアを用いて詳細を検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度の端数分を繰り越し。 平成26年度の計画: 1)モデル作成から実験開始までの時間に問題があったので検討して改善する。2)敗血症モデル作成1週間前特異的CypD抑制剤を投与した群(DypD抑制群)と生食投与群を作り、敗血症モデル作成24時間後のミトコンドリアのCa誘発性Swellingやミトコンドリア各呼吸鎖タンパクの活性及びCa取り込み能を計測し比較検討する。3)それぞれの肝組織の血管内皮細胞増殖因子の発現の変動について各種染色法を用いて解析する。
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