研究課題/領域番号 |
24592364
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
中本 賀寿夫 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30432636)
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研究分担者 |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
糟谷 史代 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (80131522)
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キーワード | GPR40 / 抗侵害作用 / 疼痛 / 遊離脂肪酸 |
研究概要 |
本年度は、complete Freund's ajuvant (CFA) 誘発炎症性疼痛モデルマウスを作製し、疼痛時における脳内遊離脂肪酸の量的変化を解析すること、さらに、これらの機構におけるアストロサイトの関与について検討を加えた。CFA 誘発炎症性疼痛モデルマウスの脳内遊離脂肪酸含量は、LC-MS/MS を用いて定量した。細胞増殖阻害にはフラボピリドール(5, 15 nmol)を用いた。GPR40 および GFAP のタンパク質発現変化および局在解析は、ウエスタンブロッティング法および免疫組織染色法により測定した。疼痛評価には、von Frey test(機械的) および plantar test (熱的刺激)を用いた。 CFA 処置により、機械的アロディニアおよび熱痛覚過敏が認められた。これらのマウスに対して、CFA 投与 1 日目の視床下部における各種遊離脂肪酸含量を測定したところ、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキドン酸 およびドコサヘキサエン酸含量の増加が認められた。同条件下において、視床下部の GFAP(アストロサイトマーカー)タンパク質発現は、CFA 投与 1 日目に vehicle 投与群と比較して有意に増加した。興味深いことに、これらの遊離脂肪酸含量の増加は、細胞増殖阻害剤のフラボピリドールの前処置によって抑制され、CFA 誘発機械的アロディニアおよび熱痛覚過敏もまた抑制された。よって、疼痛刺激により脳内遊離脂肪酸量が増加すること、またこれらの増加機構には一部アストロサイトが関与している可能性が示された。 以上より、疼痛時において、 DHA を含む脳内遊離脂肪酸は GPR40 を介した疼痛制御機構のスイッチ役として機能しているかもしれない。現在、これらの仮説を証明するために精力的に研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、疼痛時における遊離脂肪酸含量を平成26年度に計画していたが、予定を変更し平成25年度に行った。従って、GPR40 KOマウスを用いた疼痛評価に関しては、平成26年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.GPR40 ノックアウトマウスにおける疼痛行動の変容について GPR40ノックアウトマウスを用いて、疼痛行動に与える影響を行動薬理学的手法を用いて解析する。具体的には、これらのノックアウトマウスの坐骨神経を部分結紮させ、その後の疼痛過敏反応を行動薬理学的手法を用いて経時的に観察する。同様に、CFAやホルマリン等の炎症性疼痛モデルマウスを作製し、検討を行う。さらに、急性疼痛に対する評価を行う。熱的刺激に伴う痛みには tail flick 試験や plantar 試験、化学刺激に伴う痛みにはホルマリン試験、機械的な刺激に対しては von Frey 試験 を用いて検討を行う。
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