研究概要 |
【分子量の異なるヒドロキシエチルデンプン製剤が高分子ゲル構造に及ぼす影響】 分子量の異なる2%ヒドロキシエチルデンプン製剤(分子量70,000、130,000、20,000:HES 70, HES 130, HES 200)が、高分子ゲル・ゾル構造変化に及ぼす影響をヒアルロン酸ゲルを用いて検討した。2%アルブミンを含んだ1%ヒアルロン酸ゲルからのアルブミンの放出量を吸光度法(波長279 nm)により3分ごとに経時的に測定した。 <結果>ヒアルロン酸ゲルからのアルブミンの放出は、いずれのHES製剤においても経時的に増加した。しかし、1時間時のアルブミンの放出量は、HES130において最も小さく(0.046 ± 0.011, P < 0.05, n = 5)、HES70 (0.063 ± 0.009)とHES200 (0.065 ± 0.015)においては同程度であった。 <考察>アルブミンの放出速度がヒドロキシエチルデンプンの分子量により異なったことは、ヒドロキシエチルデンプンがヒアルロン酸ゲル構造に及ぼす影響が分子量により異なることを示唆する。分子量130,000のヒドロキシエチルデンプンは、ヒアルロン酸ゲルと強く相互作用することによりアルブミンの透過を抑制したと考えられる。本結果は、生体においてヒドロキシエチルデンプン製剤が血管内皮細胞表面のゲル構造に及ぼす影響を考える上で重要な手がかりとなる。
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