1. 前年度までに確立した、Wistarラットの全身麻酔、人工呼吸下での肺虚血再潅流傷害モデル作成の手技をさらに向上させた。具体的には呼吸、循環、体温などの生体条件を安定させた状態で出血もほとんどない状態で開胸手術を行い顕微鏡下に左肺門部での虚血、再潅流を行うものである。 2.上記の方法で虚血、再潅流 をそれぞれ1時間とし、左主気管支および肺を摘出した。それぞれRNA later液中に冷蔵保存し、定着後に取り出した組織を用いてRNA解析を行った。この結果、虚血再潅流傷害の発生時に発現するマイクロRNAを複数同定した(現在、解析結果を論文執筆中である)。 3.同時に虚血、再潅流を行っていない健側、すなわち右側の肺を採取し、凍結保存、およびRNA later液中で冷蔵保存した。これらは将来的にウェスタンブロット法やPCR、さらにはRNA解析に用いる予定である。 4.将来的に3を解析することにより、2で得られた結果との比較から、虚血再潅流傷害によって局所的に特定のマイクロRNA発現が起こりうるかどうかを調べることが可能となった。 5.2.および3.と同様のプロトコルで、実験開始時から吸入麻酔薬セボフルランを投与した。これにより、セボフルランの臓器保護作用が虚血再潅流傷害にも及ぼされているかどうかをウェスタンブロット法およびRNA解析の両面から考察した (現在、これらの解析結果を論文執筆中である)。
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