肺移植術後に気道過敏性亢進をきたし呼吸管理に難渋することがある。移植肺に気道過敏性亢進を生じさせうる因子の中から周術期使用薬剤の影響を調べた。スガマデクスは筋弛緩薬ロクロニウムを拮抗するがその際に形成される包接体はラット気道平滑筋に有意な収縮を生じなかった。また肺移植ではドナーから摘出した肺が移植後に虚血再潅流傷害をきたすが、気道過敏性亢進時に見られる低分子量蛋白RhoAやCPI-17が虚血再潅流傷害時にも増加することを確認した。以上より肺移植術後の気道過敏性亢進メカニズムは薬剤の作用よりも虚血再潅流傷害、とくに蛋白質レベルでの変化が大きく関与していることが示唆された。
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