研究課題/領域番号 |
24592370
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
高橋 哲也 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (00589905)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LPS / 吸入麻酔薬 / 敗血症 |
研究実績の概要 |
敗血症性ショックは周術期を含め、集中治療領域において致死的な病態であり、有効な治療戦略の構築が求められながらも、なお決定的な標準治療法が確立されていない。過去、大量輸液療法や循環作動薬による循環動態のサポートが有効とされてきたが、病態としては細菌感染と全身性の炎症が混在したものであり、細菌感染の制御と全身性の炎症反応の抑制を行うことが必要である。LPSを用いた全身性炎症反応モデルの研究では、炎症性サイトカイン抑制により生存率の改善が認められ、多数の薬剤が研究対象となってきたが、ヒトを対象とした臨床では有効性が確認できていない。これより敗血症は、炎症性サイトカインの抑制のみでは、生命予後を改善できない病態であることが示唆される。また、これまでの動物研究ではLPS投与に先だって抗炎症作用を有する薬剤を投与されていたが、実際の敗血症では炎症反応が惹起された後に介入し、効力を発揮することが求められるという現実がある。そこで、LPSにより炎症性サイトカイン分泌が行われた後に、吸入麻酔薬を投与する研究を行った。その結果、早期リガンドであるTNFがピークアウトした後に介入した場合でも生命予後を改善できることが確認できた。晩期致死的リガンドであるHMGB1を抑制することが、生命予後の改善につながったと考えられた。HMGB1を抑制する機序については、吸入麻酔薬投与が一酸化炭素を誘導することがその原因であると考えられた。その機序を有効に刺激する薬剤の選定が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初想定していなかった新たな機序を発見し論文投稿を行ったが、更なる追加検討に想定外の時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究では成獣マウスを用いて行っているが、実際の敗血症患者は老人であることが大部分である。追加研究と併行して、老齢マウスでも同様の検討を行い、同様の保護効果が発揮できるかどうかにつき、現在検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床業務に従事する時間が増えたことにより研究業務に従事する時間が減り、追加研究の進捗状況が芳しくなく、試薬を追加購入しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究試薬購入が主たる使用額となるため、本年度と大きな差異はないと考える。
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