研究課題/領域番号 |
24592374
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
黄 明国 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60448503)
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研究分担者 |
成田 伸太郎 秋田大学, 医学部, 講師 (40396552)
土谷 順彦 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70282176)
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キーワード | MIC-1 / FASN / high fat diet |
研究概要 |
我々は、高脂肪、高パルミチン酸食摂取前立腺癌担癌マウスの解析を通じて、macrophage inhibitory cytokine-1 (MIC-1)が高脂肪食摂取により前立腺癌の増殖と浸潤を促進することを明らかにし、さらに血清MIC-1が前立腺癌患者血清中に高く、病理学的Gradeに関連していることを見出した(Huang M, et al, Endocr Relat Cancer. 2013)。 また、細胞内のパルミチン酸産生酵素であるFatty acid synthase (FASN)が、高脂肪食摂取LNCaP xenograft マウスのXenograftには高発現、血清中には低発現していることを見つけ出した。また、Xenograftを用いた免疫染色では高脂肪食群でP-AKT, P-ERKが高発現、P-AMPKが低発現していた。前立腺癌LNCaP, C4-2細胞は、AKT, ERK 抑制剤であるLY294002、U0126処理すると細胞内のFASNの発現の低下と細胞培養液中のFASN発現の増加を認めた。また、LY294002とU0126処理により前立腺がん細胞内のAMPKの活性化が亢進し、さらにAMPK活性剤であるAICAR処理によって前立腺がん細胞内のFASN、SREBP-1蛋白の発現低下と細胞外のFASN発現亢進を認めた。一方、FASN siRNAとFASN抑制剤Cerulenin処理により、前立腺がん細胞の増殖能が低下するが、パルミチン酸添加により改善が見られた。面白いことに、FASN抑制によって、前立腺癌細胞のP-AKT, P-ERKの抑制とP-AMPKの亢進を認めた。これは、前立腺癌細胞で、FASN発現とP-AKT, P-ERKとP-AMPKシグナルには重要なフィードバック存在している可能性を示唆している。前立腺癌組織では、FASN発現はGleason scoreと病理学的ステージと関連していて、さらにホルモン除却療法と化学療法によって発現が低下していることを認めた。このようにFASNは、高脂肪食、肥満などによる前立腺癌進展に重要な役割をしている可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初めに、我々は高脂肪、高パルミチン酸食摂取前立腺癌担癌マウスの解析を通じてMIC-1が高脂肪食、肥満などによる前立腺癌進展の重要なファクター分子であることを突き止めた(Huang M, et al, Endocr Relat Cancer. 2013)。 次に、我々はパルミチン酸産生酵素であるFatty acid synthase (FASN)が、PI3K, MAPKなど増殖シグナルとエネルギー代謝系のAMPKシグナルによって制御されていて、高脂肪食下の前立腺癌進展に重要な役割をすることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、今まで前立腺癌担癌マウスを用いた高脂肪食付加実験を通じて、PI3K, MAPK など増殖シグナルが亢進していることを明らかにした。最近の研究によると、PI3K反応分子であるphosphatidylinositols の脂肪酸成分がその機能に重要な役割を及ぼす可能性が指摘されているがその詳細は不明な点が多い。今後は、質量分析法で高脂肪食摂取によりであるphosphatidylinositols の変化とそのメカニズムを研究する。
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