研究実績の概要 |
脂肪酸産生酵素FASNは、細胞内の余分なエネルギーを脂肪酸(最初産物はパルミチン酸)、さらに脂質に転換させる酵素である。今回我々は免疫染色、ウェスタンブロット、ELISA法などを用いて、高脂肪食摂取LNCaP Xenograft マウス群では低脂肪食摂取群に比較して、がん組織にはFASN, PI3K, ERKの発現の亢進とAMPK発現の低下、血清中のFASNの低下(3344.6 ± 1005.8 vs 6666.4 ± 3685.8 pg/mL, p = 0.026)を確認した。またLNCaP, C4-2細胞を用いて、このような細胞内外のFASN発現の変化は、増殖シグナルであるPI3KとMAPKシグナル、エネルギー関連シグナルであるAMPKの活性化に制御されていることを確認した。またヒト前立腺がんがん組織でのFASN発現レベルがGleason Scoreと相関していて、さらにホルムン、化学療法の反応性分子であることも確認した。このように、高脂肪食下脂肪酸産生酵素FASNの発現変化はPI3K, ERK, AMPKシグナルによって制御され、前立腺がんの進展を促進する可能性が示唆された。
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