研究課題/領域番号 |
24592375
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
島居 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80235613)
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研究分担者 |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60109759)
内田 和彦 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90211078)
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キーワード | 膀胱癌 / p16 / ペプチド / 肺転移 / リン酸化Rb / 薬剤デリバリー |
研究概要 |
今年度は、膀胱癌肺転移のモデルを用いてマウスp16機能性ペプチドによる治療実験を実施した。 膀胱癌肺転移モデルとしてC3H/HeNマウス(メス)にマウス膀胱癌細胞株MBT2 100,000個/0.1mLPBSを尾静注し、尾静注に成功した45匹をその後の実験に使用した。 15匹ずつ3群に分類し、治療による転移形成性および生存率の差を各群5匹および10匹で観察した。治療はあらかじめ室温でインキュベーションしたマウスp16ペプチド80nMと導入用ペプチドWr-T50nMを0.1mLPBS尾静注した。対照群は無治療とし、治療群では1回治療群は細胞株投与後3日目に、3回治療群は3,5,7日目に治療を行った。 結果は、細胞株投与14日目の転移形成性は無治療群100%(5/5)、1回治療群100%(5/5)、3回治療群40%(2/5)であった。生存率については18日目からマウスが死亡し始め、21日目までの生存率は対照群25%(2/8)、1回治療群50%(5/10)、3回治療群80%(8/10)であった。ただし21日目までの肺転移の形成を病理学的に観察したところ、対照群は100%、1回治療群80%、3回治療群80%であり、治療群は肺転移の数が少なくサイズも小さい傾向が見られた。 現在、再度同モデル30匹を用いて治療の有無、治療回数による転移形成性を組織学的に検討中である。上記と同様の実験群において、細胞株静注後14日目に安楽死の上、肺を採取し、組織学的な転移形成性の評価、さらに治療群を中心に、p16発現、リン酸化Rbの発現、アポトーシスの評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膀胱癌の肺転移モデルは確立でき、p16ペプチドによる治療実験も反復して実施したが、腎癌肺転移モデルはp16感受性の高い細胞株の転移形成能が極めて低く、一方、肺転移能の高い細胞株がin vitroでp16ペプチド導入治療に抵抗性であったため。
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今後の研究の推進方策 |
膀胱癌肺転移モデルにおけるp16ペプチド治療効果を組織学的に解析中であり、必要に応じて追加実験を行う予定である。また平成26年度はマウスにおけるp16ペプチド静注の毒性を生化学的、組織学的に検討する予定である。 p16ペプチド療法感受性の腎癌細胞株を用いた肺転移モデルは確立が困難であるので、膀胱癌肺転移モデルにとどめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
経費は計画に基づいてほぼ予定通り使用したが、動物実験の物品費、飼育費、解析費に少額の誤差が発生したため。 次年度使用額の3,374円は次年度請求額と比較すると少額であるが、年度早期の動物実験物品費として使用の予定である。
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