研究課題/領域番号 |
24592375
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
島居 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80235613)
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研究分担者 |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60109759)
内田 和彦 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90211078)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 肺転移 / ペプチド / p16 / Rb / マウスモデル / 毒性 / 浸潤性 |
研究実績の概要 |
目的:p16INK4a(p16)はRbのリン酸化を制御しており、その機能異常は膀胱癌の発生進展に重要である。これまでp16のCDK結合ドメインを用いた機能ペプチドp16-MISのマウス膀胱癌細胞移植モデルにおける抑制効果を報告(Int J Oncol 2013;43:543)が、今回、肺転移抑制効果と毒性を検討する。 方法:肺転移は6週齢の雌C3H/Heマウス34匹にp16欠損マウス膀胱癌細胞株MBT-2を10万個/100mL尾静注して作成し、14日後に肺転移巣を組織学的に検討した。対照群および投与回数により分類し、p16x1群は3日目に1回、p16x3群は3、5、7日目に3回投与した。p16-MISの配列はrrrrrrrrr-GPG-FLD TLV VLH Gで、導入用ペプチドWr-TはKET WWE TWW TEW WTE WSQ-GPG-rrrrrrrrr (Mol Cancer Ther 2004;3:1623)とした。両者をあらかじめ室温で1時間混合し尾静注した。肺転移は組織切片上で数と面積で評価した。またp16、リン酸化Rbの発現、アポトーシスを組織学的に評価した。毒性試験は、5週齢雌雄のC3H/Heマウス計15匹にペプチド単回低用量、複数回高用量投与における体重変化、血液検査、臓器組織学的評価を行った。 結果:肺転移は対象群12/12例、p16x1群5/12例、p16x3群3/10例で、数は平均7.08±5.23個、1.91±3.29個、1.0±1.89個、大きさは3.19±2.30平方mm、2.51±1.57平方mm、1.34±0.986平方mmで有意差(対照 vs p16x1: p=0014, 0.0183;対照 vs p16x3: p=0.0007, 0.0296) を認めた。転移巣のp16発現は差がなく、リン酸化Rbの発現、あるいはアポトーシスは対照に比較して部分的に低下あるいは亢進していた。毒性は高容量群に白血球数増加傾向が認められたが有意差はなく、骨髄像にも明らかな所見はみられなかった。 結論:マウス膀胱癌肺転移モデルにおいて、p16-MISの全身投与は用量依存性に転移形成を抑制することが示唆され、明かな毒性は認められなかった。
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