研究課題/領域番号 |
24592381
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北川 育秀 金沢大学, 附属病院, 助教 (00452102)
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研究分担者 |
小中 弘之 金沢大学, 附属病院, 講師 (40334768)
京 哲 金沢大学, 医学系, 講師 (50272969)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 泌尿器癌 / テロメアーゼ / 血管内浮遊癌細胞 |
研究概要 |
腎癌細胞株ACHN,前立腺癌細胞株PC3, LNCaP, DU145を細胞数を調整し,20mlの健康成人血液中に混注した研究サンプルを作製した.hTERTプロモーターとBFPを組み込んだ新規adenovirusベクターOBP401を用いたTRADシステムを用いて,血液中の癌細胞を同定することが可能であったが,血液1ml中に100-1000個の癌細胞が必要であり,精度的に満足できる結果ではなかった. 臨床研究として,金沢大学大学院医学類の倫理委員会に申請し,患者血液を使用して研究を遂行することが可能となった.泌尿器科癌(腎癌,腎盂尿管膀胱を含めた尿路上皮癌,前立腺癌,精巣癌)患者の20mlの血液を使用し,細胞株に用いた同様の研究手法にて血液内浮遊癌細胞の同定を試みたが,検出率は低かった.血液内浮遊癌細胞を同定し得たのは,それぞれの癌のうち,転移,進行している症例で,癌種による違いを認めなかったが,各癌腫数例ずつのみであり,満足できる結果ではなかった.比較的早期の癌症例が多かったことと,進行癌であっても抗癌化学療法を施行している症例では血液内浮遊癌細胞の数が少なく,現状のシステムでは同定が困難である可能性が考えられた.早期癌,あるいは治療が奏功している症例において,血液内浮遊癌細胞が少なくなるという結果は,ある意味合理的ではあるが,疑陰性との区別が不能である.今後は.ベクターの改良を含めた精度を高めるための工夫を試みたうえで,同様の研究を継続する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
卵巣癌や子宮体癌患者においてはTRADシステムでの血液内浮遊癌細胞の同定が可能であったが,泌尿器科癌では検出率が劣ることがわかった.今後は精度を高めるための工夫が必要な可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
癌細胞株を用いた予備実験では,TRADシステムで血液内浮遊癌細胞を同定することが可能であった.今後の目標は泌尿器癌患者における臨床応用であり,手技を繰り返して精度を高めることで,癌患者における血管内浮遊癌細胞を同定し,治療に伴う経時的な変化を見ることで,治療効果の判定や,予後予測に応用したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
患者の血液サンプルを用いた実験を平成24年度から継続して行うこととなり,それに使用する予定であった試薬等の費用を平成25年度に繰り越し、使用することとする。引き続き細胞培養用試薬等を購入する。
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