研究課題/領域番号 |
24592386
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 喜之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00582107)
|
研究分担者 |
小川 修 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90260611)
大久保 和俊 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20511877)
今村 正明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20594237)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 膀胱癌 |
研究概要 |
平成24年度は主に、当初の研究計画のうち、下記1)と3)に関して研究を行った。 1)ヒト膀胱癌臨床検体を用いたFilamin A発現と悪性度及び臨床病期との相関性の検討 当施設で作成した膀胱癌約100例、正常尿路上皮8例を含む、Tissue microarray標本による検討において、Filamin Aの免疫染色強度と膀胱癌の悪性度、あるいは浸潤性の有無について相関性を認めた。 3)膀胱癌細胞株を用いたFilamin A発現量変化が膀胱癌の表現型に与える影響の検討 Filamin A高発現株で発現抑制したサブクローンに関する表現型の変化についてin vitroで検討した。MTT assayで細胞増殖について検討したところ、Filamin Aを発現抑制した細胞株で増殖能は低下していた。Wound healing assay, Matrigel Invasion assayによる細胞遊走能・浸潤能を検討したところ、有意な変化はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究計画である1)~3)の項目のうち、1)ヒト膀胱癌臨床検体における各種Ralエフェクターの発現量と臨床パラメーターとの相関についての比較についての検討、3)膀胱癌細胞株を用いたRalエフェクターの発現量の変化が膀胱癌細胞の表現型におよぼす影響についての検討はおおむね進行中であるが、2)マウス浸潤性膀胱癌モデルを用いたin vivoにおけるFilamin A発現量の解析が遅れている。一つには動物実験施設のマウスがトリコモナス感染を起こしたため、殺処分せざるを得なかったこともその理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
4)網羅的解析法による膀胱癌進展を担うRalエフェクター分子の探索 先述したように本研究ではRalGAPにより制御されるRalエフェクター分子の新規同定を目指す。まず、すでに作成済の野生型RalGAPα2及びGAP活性を持たない変異体(N1742K)を強制発現またはノックダウンしたサブクローンを用いて、cDNA microarray, 2D-LC/MSを行い、RalGAPにより制御をうける新規Ralエフェクターの探索を行う。同定されてきた候補分子は、同じサブクローンでvalidationを行い、さらにRalGAPα2KOマウスと野生型マウスの膀胱サンプルを用いて、in vivoでRalGAP/Ralの下流分子として動いているかどうか、検討する。さらに我々の施設が保有する質量顕微鏡を用いてBBN発癌モデルマウスの膀胱観察を経時的に行い、RalGAPα2野生型マウスとKOマウスの両群間にどのような変化が生じているかを検討する。この実験系によりcDNA microarrayや2D-LC/MSで得られるRalエフェクターとは異なる分子が同定できる可能性があり、またそれらの分子の局在を検討することができる。 5) 新規Ralエフェクター候補分子の膀胱癌での発現と機能についての検討 4)で得られた候補分子のヒト膀胱癌臨床検体における発現量を1)のTissue Microarrayを用いた免疫組織染色にて臨床病期・悪性度・生存率・遠隔転移の有無等との相関関係を検討する。さらに上記2)、3)と同様に候補分子の強制発現/発現抑制により、膀胱癌のどのような表現型に関与しているか検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
6)新規Ralエフェクター候補分子の治療標的化の試み 上記で得られたRalエフェクター候補分子およびFilamin Aが膀胱癌の新規治療標的となりうるかどうかを検討する。まず、候補分子の阻害剤となる薬剤を探索する。同時に候補分子のsiRNA moleculeを作成する。これらの阻害物質が、マウス膀胱化学発癌モデルにおける発癌及び腫瘍進展にどのような影響を与えるかを、病理組織学的に検討する。
|