これまでの研究により、アドリアマイシン耐性膀胱癌細胞株KK47/ADMにおいて、アデノウィルスベクターでREIC(Reduced Expression in Immortalized Cells)遺伝子を強制発現させることによりアポトーシスが誘導されることが確認され、Ad-REIC治療後のKK47/ADM細胞株においてドキソルビシン抗癌剤による殺細胞効果の増強ならびにP-glycoproteinの発現抑制を確認した。さらに小胞体ストレス応答の下流に存在するJNK(c-jun N-terminal kinase)をJNK inhibitorであるSP600125で抑制することにより、P-glycoprotein発現の回復を認めた。このことから小胞体ストレス応答周辺における分子シグナリングが、ドキソルビシン抗癌剤に対する薬剤耐性に密接に関与している可能性が高いことが示唆された。H26年度の研究では、ヌードマウスを用い、小胞体ストレス応答とドキソルビシン抗癌剤の薬剤耐性に関するin vivo実験を行った。具体的にはkk47/ADM細胞株をヌードマウス皮下に移植し、担癌マウスにドキソルビシン抗癌剤を投与し、腫瘍縮小効果を確認した。さらに担癌マウスにドキソルビシン抗癌剤ならびにJNK inhibitorであるSP600125を腹腔内投与し、ドキソルビシン抗癌剤による腫瘍縮小効果を解析するとともに、残存腫瘍サンプルを用い、腫瘍内でのP-glycoproteinタンパク発現量を解析した。
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