研究課題/領域番号 |
24592391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松原 昭郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (10239064)
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研究分担者 |
亭島 淳 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (20397962)
安井 弥 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (40191118)
井上 省吾 広島大学, 病院, その他 (90457177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | RegIV / FGFR2 |
研究概要 |
ヒト前立腺組織からRNAを抽出してcDNAを合成し作成したCASTライブラリーをスクリーニングすることにより、前立腺癌に特異的な膜貫通タンパクもしくは分泌タンパクをコードする候補遺伝子群を同定した。その一つであるNBL1は前立腺癌の進展の新規マーカーとなりうることを明らかにし、論文発表した(Pathobiology. 2013;80(2):60-9.)。 神経内分泌癌の発生に関与する分子を探索し、RegIVとFGFR2に焦点を当てて研究を進めた。前立腺癌細胞株PC3にRegIVおよびFGFR2を強制発現させて安定発現株を作成した。RegIV安定発現株ではシナプトピジンをはじめとする神経内分泌マーカーおよびVEGFAをはじめとする血管新生因子の発現誘導が認められるとともに、細胞増殖の促進、化学療法剤感受性の低下がみられた。FGFR2安定発現株では、N-cadherin、vimentinの発現が低下し、間葉上皮移行の表現型が認められた。また、細胞増殖の低下、化学療法剤感受性の増強がみられた。これまでの研究成果は第71回日本癌学会総会、第100回日本泌尿器科学会総会、107th Annual Meeting of the American Urological Associationにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前立腺癌においてCAST法を用いて新規分子マーカーとなりうるNBL1を同定しえた。また、神経内分泌癌への移行に関与する分子の探索過程において、RegIVとFGFR2についての研究を進め、安定発現細胞株の作成とそれによるこれらの分子の機能解析を進めることができた。それにより、RegIVとFGFR2が化学療法感受性のマーカーとなりうる可能性を明らかにした。これらの分子を研究することにより、神経内分泌癌発生およびそれによる化学療法抵抗性獲得における分子機構の解明の一助となることが期待される。臨床検体におけるこれらの分子の発現解析はまだ十分になされていないが、化学療法感受性を予測しうる分子マーカーとしての可能性を探究する上で必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
RegIVの安定発現細胞株をアンドロゲン依存性前立腺癌細胞株であるLNCaPにおいても作成し、細胞増殖能、浸潤能、薬剤感受性への効果を解析する。さらにLNCaP、PC3のRegIV安定発現細胞株を用いてヌードマウスへの移植もしくは尾静脈からの注入を行い、in vivoでの腫瘍形成、腫瘍増殖、転移能への効果を検証する。RegIVとFGFR2により発現誘導される分子群について、ヒト前立腺癌組織における発現と、同検体におけるRegIVとFGFR2の発現との関連について検証する。RegIVについてはさらに、アンドロゲン依存性前立腺癌患者、去勢抵抗性前立腺癌患者の血清中濃度を測定することにより、新規血清マーカーとしての可能性を探求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に交付予定の直接経費120万円は、RegIV安定発現LNCaPの作成とそれを用いた細胞生物学的実験、免疫組織染色、血清濃度測定のためのELISA用試薬に用いることを予定している。本研究費で対応可能である。
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