研究課題/領域番号 |
24592391
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松原 昭郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (10239064)
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研究分担者 |
亭島 淳 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (20397962)
安井 弥 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (40191118)
井上 省吾 広島大学, 大学病院, 助教 (90457177)
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キーワード | 前立腺癌 |
研究概要 |
昨年度にひき続き、神経内分泌癌の発生に関与する分子を探索し、RegIVとFGFR2に焦点を当てて研究を進めた。昨年度作成したRegIVおよびFGFR2安定発現PC3に加えて、LNCaPについてもRegIVの安定発現株を作成した。RegIV安定発現LNCaPではシナプトピジン、NSE、クロモグラニンAをはじめとする神経内分泌マーカーおよびVEGFAをはじめとする血管新生因子の発現誘導が認められ、NCadの増強とECadの減弱が認められ、アンドロゲン除去下での増殖能亢進が認められた。さらに血清RegIV濃度をELISA法で測定したところ、非癌症例群に比較してホルモン依存性前立腺癌症例群、この2群に比較して去勢抵抗性前立腺癌症例群において有意にRegIV濃度が高値であった。また、前立腺原発神経内分泌癌組織においてRegIVの発現増強が確認された。 これまでの研究成果の一部は、第72回日本癌学会学術総会(札幌)、第23回泌尿器分子細胞研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
LNCaPおよびPC3についてRegIV安定発現細胞株の作成に成功し、前立腺癌細胞株が治療抵抗性となる過程におけるRegIVの分子機構解明を進めることができた。さらに血清RegIV濃度測定と臨床検体におけるRegIV発現の確認により、RegIVが化学療法感受性のマーカーとなりうる可能性を明らかにした。これらの分子を研究することにより、神経内分泌癌発生およびそれによる化学療法抵抗性獲得における分子機構の解明の一助となることが期待される。今後、臨床検体におけるRegIV発現および去勢抵抗性前立腺癌症例におけるRegIV濃度の縦断的な測定を行い、化学療法感受性を予測しうる分子マーカーとしての可能性を探究する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
RegIV安定発現LNCaPを用いて細胞増殖能、浸潤能、薬剤感受性への効果を解析する。さらにLNCaP、PC3のRegIV安定発現細胞株を用いてヌードマウスへの移植もしくは尾静脈からの注入を行い、in vivoでの腫瘍形成、腫瘍増殖、転移能への効果を検証する。臨床検体におけるRegIV発現および去勢抵抗性前立腺癌症例におけるRegIV濃度の縦断的な測定を行い、化学療法感受性を予測しうる新規血清マーカーとしての可能性を探求する。
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