研究課題/領域番号 |
24592392
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
亭島 淳 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (20397962)
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研究分担者 |
松原 昭郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (10239064)
井上 省吾 広島大学, 大学病院, 助教 (90457177)
正路 晃一 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (90565805)
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キーワード | 前立腺癌 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、前立腺全摘除術により得られた前立腺癌組織についてFGF19、FGF21、に対する抗体を用いた免疫組織化学染色をさらに検体数を増やし抗体を変えて行い、①FGF19サブファミリーの発現と再発、再燃の有無などの臨床経過や患者の基礎疾患の有無、病理組織学的所見との関連について検討した。FGF19は正常前立腺上皮、高分化癌組織に比較して分化度の低い癌組織で発現の上昇がみられた。また、FGF19陽性、FGF21陽性はFGF9陽性と同様に術後生化学的再発の独立した予測因子となりうることが明らかとなった。 前立腺癌細胞株LNCaP、DU145、PC3について、FGF19、21ならびにFGF9を添加した状態での細胞増殖への影響をMTT assayで解析、さらにこれらFGFファミリーの刺激により誘導される分子群についてウェスタンブロット法により解析した。FGF19刺激ではFGF9で刺激した場合と同様に、細胞増殖能の促進、抗アポトーシス効果、上皮間葉移行の促進がみられ、IGF添加によるこれらの作用の相加相乗効果が確認されたのに対し、FGF21刺激ではこれらの効果はみられず、FGF19サブファミリーの中でもFGF19とFGF21では異なる分子機構が存在する可能性が示唆された。 ELISA法による血清FGF19/21濃度の測定を行い、血清FGF19/21濃度とメタボリック症候群との関連が確認された。これまでの研究成果の一部は、第72回日本癌学会学術総会(札幌)、国際泌尿器科会議(SIU、バンクーバー)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肥満、メタボリック症候群と関連するFGF19、FGF21の発現が、ヒト前立腺がん組織において確認され、術後生化学的再発との関連が示唆された。細胞株を用いた実験ではFGF19、FGF21では異なる分子機構の存在が示唆され、その下流分子の探索のためにさらなる研究が必要である。現在、ELISA法による血清FGF19/21濃度の測定を行っており、メタボリック症候群と血清濃度との関連が確認されてきているが、前立腺癌組織での発現所見との関連を明らかにするにはさらに濃度測定時の条件を考慮した状態での再検が必要と考えられる。また、α/β-Klothoの発現解析が未だ行われておらず、今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで前立腺癌細胞ならびに限局性前立腺癌組織におけるFGF19、FGF21の分子機構に焦点を当てて研究を進め、FGF19、FGF21の前立腺癌の増殖や進展への関与を明らかにしてきた。FGF19、FGF21がホルモン様作用を有し、局所のみならず血液を介して全身に広範囲に作用しうることが報告されていることなどを考慮し、今年度は進行がん症例における血清濃度や癌組織における発現についても検討する予定である。血液検体は広島大学病院泌尿器科で前立腺針生検施行前に採取し凍結保存している検体を用いた研究がすでに倫理委員会の承認を得ている。さらに前立腺癌細胞株に対するFGF19、FGF21刺激とIGFをはじめとするリン酸化シグナル、アンドロゲンレセプターシグナルへの効果についてウェスタンブロット法、ルシフェラーゼアッセイによりそれぞれ解析する。ヒト前立腺癌組織および前立腺癌細胞株におけるα/β-Klothoの発現解析を免疫組織染色ならびにリアルタイムPCR法によりそれぞれ行う。
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