研究課題/領域番号 |
24592396
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
辛島 尚 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (60304672)
|
研究分担者 |
執印 太郎 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (70128601)
鎌田 雅行 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (90304683)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 腎癌 / 乳頭状腎癌 |
研究概要 |
乳頭状細胞接着分子 papillary cell adhesion molecule(pCAM)は、主に内分泌組織や神経に分布し、細胞間接着や細胞・細胞外基質間接着を担う因子として報告されている。我々は、腎癌における網羅的解析においてpCAM発現の差異に注目した。pCAMの発現制御により、未分化な淡明細胞癌が乳頭状腎癌に分化することを確認した。 本研究の目的は、pCAMが、乳頭状腎癌における分子病理学的な腫瘍構築因子であるとともに、腫瘍の分化や悪性度を決定するキーファクターであることを証明することである 。さらに、pCAM発現をコントロールすることで、腎癌の分化誘導療法を確立することをめざす。 本年度の研究実施計画の趣旨は、pCAMの乳頭状腎癌関連因子としての役割と機能解析である。これまでに、pCAMの発現抑制(786-O-pCAM-KO細胞)により、未分化な淡明細胞癌が高分化な乳頭状腎癌に形態変化をすることが確認できている。 Site-directed mutagenesis法により、再度pCAMを高発現させた786-O-pCAM-mut-1、mut-2のふたつの安定してpCAMタンパクを高発現するクローンを樹立できた。現在、in vitroでの細胞形態とin vivoでの腫瘍形成能とその組織構築を確認している。 また、次年度施行予定であった臨床検体でのPSA-pCAM発現を(既に文章にて同意を得ている)腎癌手術標本から制作した組織アレイを用いて解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も時間を有する行程である、mutagenesisの製作が順調に行えた。再度pCAMを高発現させた786-O-pCAM-mut-1、mut-2のpCAMタンパクはウエスタンブロットにて、安定した高発現を示しており、後の機能解析や腫瘍形成能の評価は計画的に行えている。また、次年度施行予定であった臨床検体でのPSA-pCAM発現を(既に文章にて同意を得ている)前倒して解析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標は、乳頭状腎癌の診断にpCAM発現を組み込むことで、分子病理学的分類を再考し、診断に組み込むことでの実臨床応用を行うこととpCAM発現制御による分化誘導療法を確立することである。このためにも、pCAMの機能解析は必須であり、特に上皮間葉転換(EMT)関連因子への影響を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
①複数の腎癌細胞株でのNCAM発現調節による再現性の確認 pCAM高発現株において、同様にshRNAによるpCAM発現制御およびmutagenesisによる再発現を行い、分化ならびに乳頭状構築の再現性を確認する。 ②pCAM発現調節による上皮間葉転換(EMT)関連因子への影響 製作した各細胞において、EMT関連因子であるSnail,SIP1,Twist,E2A(E47/E12)の発現と上皮系マーカーで あるE-cadherinの発現を検討する。間葉→上皮→間葉転換を証明する。
|