研究課題
ヒト手術標本からの前立腺がん幹細胞の分離・同定これまでの検討で、ヒト前立腺癌細胞株に対しALDH1マーカーを用いて前立腺癌幹細胞集団の同定を行い、その結果ALDH1活性の高い細胞集団に癌幹細胞が多く含まれること(J Urol. 2012 Jul;188(1):294-9)、またそれらの細胞ではhepatocyte growth factor(HGF)を自己分泌する機構が備わっていることを報告した(Cancer Sci. 2013 Apr;104(4):431-6)。そこで実際に前立腺癌症例におけるHGFの役割を評価するため、摘出標本の免疫染色を行いPSA再発との関係を調べた。2008年12月~2011年10月に前立腺摘除術を施行した101例を対象とし(札幌医科大学自主臨床研究承認番号:25-36)、摘出標本をHGFで染色し陽性率、濃度を評価した。予後予測能評価のためHGFの陽性率と濃度のROC解析を行った結果、カットオフ値を陽性率5%に設定することとした。101例中2年以内にPSA再発を来した症例は11例、5年以内にPSA再発を来したのは15例であった。HGF陽性率5%以上の症例群は5%未満に比較し有意にPSA再発までの期間が短かった(P=0.001, log rank test)。また多変量解析の結果、術前PSAとHGF陽性率5%以上が有意な独立したPSA再発の予測因子であった。以上より、新規前立腺癌幹細胞マーカーのHGFにより、前立腺癌術後早期に再発の危険性のある患者やさらには適切な追加治療を行うべき患者を選別できる可能性が示唆された(Anticancer Res. 2015 35: 413-418)
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Anticancer Research
巻: 35 ページ: 413-418