研究課題/領域番号 |
24592403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
河合 憲康 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20254279)
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研究分担者 |
小林 猛 中部大学, 付置研究所, 教授 (10043324)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
佐々木 昌一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50225869)
内木 拓 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50551272)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 温熱治療 / 免疫治療 / 前立腺癌 |
研究概要 |
前立腺癌細胞におけるMHC クラスI抗原発現亢進への工夫 1.温熱処理によるMHCクラスI抗原発現亢進の解析:ヒト前立腺癌細胞PC-3, LNCapと共同研究者の内木が樹立したラット前立腺癌細胞PCai1の培養ディッシュを加温して、細胞を回収。FACS scanでMHC クラスI発現の増強を解析した。結果として、温熱処理により前立腺癌細胞のMHC クラス I抗原の発現が亢進しなかった。そこで加温を38,40,42,45℃と多段階に設定して検討した。しかし、その結果としもMHC クラスI抗原の発現は亢進しなかった。言い換えると、細胞障害性T細胞の活性化にはMHCクラスI抗原の発現が必要であるが、自然免疫系のNK細胞はMHCクラスI抗原が発現していない細胞を標的として破壊する。したがって、本研究の戦略のなかで、NK細胞の働きも重視する必要があることがわかった。 2.ヒストン脱アセチル化阻害剤処理によるMHCクラスI抗原発現亢進の解析:PC-3, LNCapおよびPCai1をヒストン脱アセチル化阻害剤であるtrichostatin A (TSA)によって処理、その後細胞を回収し、FACS scanでMHC クラスI発現の増強を解析した。しかし、trichostatin A (TSA)処理によってもMHCクラスI抗原の発現が亢進しなかった。 trichostatin A (TSA)はヒストン脱アセチル化剤阻害剤として市販されているものである。市販されていないもので、研究室レベルのものもいくつかある。幸い私たちは本学大学院薬学研究科で開発された新規ヒストン脱アセチル化阻害剤を使用することができるので、それを用いて検討する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の大きな目的は、Fe3O4と磁場を用いた“がん温熱治療”と“がん免疫治療”を融合し、全身治療が可能な前立腺癌に対する新しい治療法を開発するための基礎的研究である。そこで、“がん温熱治療”と“がん免疫治療”を融合させるために、加温によりいかなる免疫応答が発現するかを見極める必要がある。平成24年度は、MHCクラスIにポイントを定めて、温熱によりMHCクラスIをより発現させる工夫を試みたが、ネガティブデータであった。しかし、それはより選択肢を絞ることができたとして、一定の成果があったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.温熱処理による自然免疫系のNK細胞の働きを確認する。 H24年の研究で前立腺癌細胞では温熱治療によるMHCクラスIの発現は影響を受けないことがわかった。そこでNK細胞の働きにポイントを置く。共同研究者の内木が樹立したラット前立腺癌細胞PCai1をSDラットに皮下移植および同所移植をする。磁性微粒子を用いた温熱治療を行った後、sacrificeをしてNK細胞活性を評価する。 2.ヒストン脱アセチル化阻害剤処理によるMHCクラスI抗原発現亢進の解析 PC-3, LNCapおよびPCai1を本学大学院薬学研究科で開発された新規ヒストン脱アセチル化阻害剤であるtrichostatin A (TSA)によって処理、その後細胞を回収し、FACS scanでMHC クラスI発現の増強を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物購入費 80千円、抗体購入費 200千円、試薬購入費 100千円、器具購入費 50千円。研究補助(1人×25日)、英文校正 100千円、別刷代 50千円。動物飼育費 50千円。成果発表として日本泌尿器科学会参加等 80千円、日本癌学会 80千円、日本癌治療学会 80千円、米国癌学会 200千円。 平成24年では前立腺がん細胞のMHCクラスI抗原の発現を温熱治療により増強することが確認できなかった。このため、研究計画の次の段階に進めず、試薬や細胞の購入が滞ったため次年度使用額が発生した。本年はヒストン脱アセチル化阻害剤を用いて研究を進める予定である。本薬剤は1gの製造に20万円強必要となる。本薬剤の購入で次年度使用額は使う予定である。
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