研究課題/領域番号 |
24592403
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
河合 憲康 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20254279)
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研究分担者 |
小林 猛 中部大学, 付置研究所, 教授 (10043324)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
佐々木 昌一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50225869)
内木 拓 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50551272)
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キーワード | 温熱治療 / がん免疫 / 前立腺癌 |
研究概要 |
マグネタイト微粒子(Magnetic Cationic Liposome:MCL)と交番磁場を用いた磁場誘導組織内加温法 (MCL Heat Therapy)の前立腺癌に対する新しい治療法の開発を目的としている。その核となるのはMCL Heat Therapyとがん免疫治療の融合である。平成24年度はin vitroで前立腺癌培養細胞を用い、温熱の作用によりMHC クラスI抗原発現亢進を試みたが、よい結果は得られなかった。そのため平成25年度にはMHCクラスI抗原が発現していない細胞を標的として破壊するNK細胞の活性にも検討することとした。 In vitroで望まれる結果が得られていない状態でin vivoの実験に移行することは一般的ではない。しかし、本研究の核である“がん免疫”は個々の細胞ではなく、個体としての反応としてとらえる必要がある。このためin vivoに移行した。F3446週例オスラットの背部皮下に本学で樹立されたラット前立腺癌PLS-10を移植した。直径5mmに皮下移植腫瘍が成長したところで、鉄含有量が20mg/mlのMCLを2ml 皮下移植腫瘍にシリンジポンプを用い30分かけて注入した。384Oeの磁界強度で交番磁界を30分かけた。温度計(熱伝対)を直接皮下移植腫瘍に挿入して計測した腫瘍内部温度は45度に達していた。30分の加温を行った。2日後に腫瘍を摘出して、NK細胞の存在を免疫染色で確認した。さらに免疫応答をみるために殺細胞性T細胞およびヘルパーT細胞の発現も確認した。免疫染色で評価したところ、NK細胞をはじめ殺細胞性T細胞、ヘルパーT細胞の発現を確認することができた。 現段階では、これら免疫応答細胞の発現が、MCL Heat Therapyの治療効果に役割を担っているのか、単に結果して発現したのかは明らかとはなっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的であるマグネタイト微粒子(MCL)と交番磁界を利用した磁場組織内誘導加温法(MCL Heat Therapy)とがん免疫治療の融合が本研究の目的である。in vitroでは前立腺癌細胞でMHCクラスI抗原の発現を温熱治療では増強させることはできなかった。個体として温熱治療により、免疫応答細胞(NK細胞、殺細胞T細胞、ヘルパーT細胞)の発現を免疫染色では確認できた。しかし、本年度の目標の中で、免疫系の負の調整系まで、進むことはできなかった。さらに、Heat Shock Protein (HSP)複合体とMCLクラスI抗原の複合体の樹状細胞への取り込みを検討することが予定となっていた。しかし、MHCクラスIの発現をとらえられていないため、この項目については、検討できていない。
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今後の研究の推進方策 |
MCL Heat Therapyとがん免疫の融合という目標においては免疫応答細胞(NK細胞、殺細胞T細胞、ヘルパーT細胞)の役割などはさらなる研究が可能と考えられる。しかし、MHC クラスI抗原とHSPとの複合体と樹状細胞が関与する免疫応答の解明には多くの課題が残されている。根本にある前立腺癌細胞のMHCクラスI抗原の発現が温熱治療にて増強するか否かを精査する必要がある。並行して行っている本学大学院薬学研究科で開発された新規ヒストン脱アセチル化阻害剤を用いた、のMHCクラスI抗原の発現増強も進めていく。
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