研究課題/領域番号 |
24592405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高羽 夏樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (80294081)
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研究分担者 |
三木 恒治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10243239)
河内 明宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90240952)
鴨井 和実 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40295663)
沖原 宏治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80285270)
木村 泰典 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20398374)
上田 崇 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50601598)
岩田 健 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00552209)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 抗癌剤耐性 / タキサン / ナノビーズ / ケミカルバイオロジー |
研究概要 |
本研究では、OH基を有するドセタキセルおよびカバジタキセルの結合タンパクをナノ磁性ビーズを用いて前立腺癌細胞株から精製・同定を行う。抗癌剤感受性株と同じ株から確立した耐性株の両方から精製した抗癌剤結合タンパクの比較により、抗癌剤耐性機序の解明を試みる。このため、適切な細胞株の選定が重要となる。我々はこれまでに、核マトリックスタンパクであるHMGA1が前立腺癌の進展に関与することを論文および学会で発表してきた。アンドロゲン依存性前立腺癌細胞株のLNCaPにHMGA1を強制発現した株では、アンドロゲン非依存性増殖の獲得に伴い、ドセタキセルへの感受性が低下し、さらにドセタキセル感受性に関るMDR1のmRNA発現が上昇していることを平成24年度に明らかにした。また、アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞株のDU145から確立した2種類のドセタキセル耐性株を、他の研究施設より得ることができた。この二つの細胞株ではHMGA1の発現はむしろ低下しており、そのうちひとつの細胞株ではMDR1のmRNA発現の発現が上昇し、もうひとつの細胞株では低下していることを確かめた。以上より、これら3つのドセタキセル耐性株では、異なる機序で抗癌剤耐性が生じている可能性が示唆された。それぞれの細胞株から異なるドセタキセル結合タンパクが精製できる可能性があると考え、本研究の材料として適していると判断した。 我々は、固定方法を改良することにより、OH基を有する抗アンドロゲン剤であるビカルタミドの結合タンパクを、ナノ磁性ビーズを用いて精製することが可能で、ビカルタミド感受性株と耐性株の間で発現量の異なる結合タンパクがあることも明らかにしてきた。同様の方法で、ドセタキセル結合タンパクを精製する予定であるが、平成24年度には、ビカルタミド結合タンパクの質量分析が可能となるような精製方法の適正化にはいたらなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究に適した細胞株の入手とその解析に時間を要したため。また、ビカルタミド結合タンパクの質量分析を可能とするような、タンパク精製方法の適正化にいたらなかったため、ドセタキセル結合タンパクの精製に着手できなかった。カバジタキセルが未入手であり、耐性株作成に着手できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
上述の3個のドセタキセル耐性株と2個のドセタキセル感受性株から、早い段階でドセタキセル結合タンパクの精製を行う。この中から、耐性株と感受性株の間に発現量の異なる結合タンパクがあるもののみに絞り、研究を進める。カバジタキセルの入手を手配し、カバジタキセル耐性株の樹立に、早い段階で着手する。ビカルタミド結合タンパクの質量分析を可能とするような、タンパク精製方法の適正化を早急に行い、同様の方法をドセタキセル結合タンパク精製・同定に応用する。質量分析により遺伝子名が同定できたドセタキセル結合タンパクについては、siRNAを用いた発現抑制実験を行い機能解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・抗癌剤結合タンパクの精製(ナノ磁性ビーズ、試薬など):400,000円 ・発現抑制実験(siRNA、試薬など): 600,000円 ・細胞培養(プラスチック容器、培養液など): 200,000円 ・学会発表(旅費、印刷費用など): 200,000円 ・合計 1,400,000円
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