研究課題/領域番号 |
24592407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
松村 永秀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30316103)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
我々の研究の骨子は、進行性・転移性尿路上皮癌患者に対する化学療法の感受性規定因子を解明し個別化治療を確立する事である。具体的には、全身化学療法を施行する上での効果予測因子としての薬学的バイオマーカーを見出すことである。進行性尿路上皮癌に対する標準化学療法はゲムシタビンとシスプラチンを併用したGC療法と古典的なMVAC療法が二者択一的な療法である。薬学的バイオマーカー物質の発現を評価することで、これらの標準療法の個別化医療の導入を試みる臨床研究を実施している。 現在、CDDP耐性関連物質としてexcision repair cross complementing1(以下ERCC1)、GEMを腫瘍細胞内に取り込む際に最も重要な物質であるHuman Equilibrative Nucleoside Transporter 1(以下hENT1)とGEMに対する耐性獲得に関与しているRibonucleotide reductase regulatory subunit 1(以下RRM1)に関する研究を行っている。 研究テーマ1としては、‘当院における尿路上皮癌症例の摘除標本において、各薬学的バイオマーカー物質の発現を評価し、各種臨床病理学的因子との関係を検討する’としているが、これまで解析してきた症例数を増やした上での検討結果を学会発表などを行っている。研究テーマ2としては‘各種膀胱癌株に関する各種バイオマーカー候補物質の発現に関する研究’であるが、これに関しても現在進行中である。また、研究テーマ3の ‘バイオマーカーの特定と発現の評価と個別化治療導入に向けた多施設共同前向き研究の実施’についても順調に症例登録が開始されている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究テーマ1‘当院における尿路上皮癌症例の摘除標本において、各薬学的バイオマーカー物質の発現を評価し、各種臨床病理学的因子との関係を検討する’については、これまで解析してきた症例数を増やした上での検討結果を学会発表などを行っている。特にこれまで論文発表を行っている候補物質以外のRRM1について泌尿器科領域における新しい知見を報告を行っており(2012年米国泌尿器科学会など)、研究の目的を推進する成果が得られている。研究テーマ2の基礎研究においても、当科で作成したシスプラチン耐性膀胱癌株T24に関する研究を実施中である。また、研究テーマ3の多施設共同研究も症例登録が開始されていることなどから、研究の目的としての初年度の成果・進捗状況は概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究テーマ1については、これまで実施してきた進行癌症例における症例数を増やした上での研究結果を論文報告する予定である。また進行癌症例の評価のみならず、周術期化学療法施行症例(術後補助化学療法と術前補助化学療法)においても、バイオマーカー候補物質の発現の評価し、各種臨床病理学的因子との関係を検討し各種学会に報告する。また、研究テーマ2の基礎研究も並行して実施するとともに最も重要な研究課題と位置づけられる多施設共同前向き研究を推進していく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで研究を継続・実施していく上での必要な経費に研究費を使用させて頂く予定である。すなわち免疫染色やRT-PCRを施行する際に必要不可欠なENT1, ERCC1などの対象物質の一次抗体やその他の病理作成関連薬品およびPCR関連試薬などの消耗品に関して引き続き使用予定である。また、多施設共同前向き研究における臨床検体の収集・輸送費なども必要経費も随時計上していく計画である。
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