研究概要 |
我々は、尿路上皮癌に対する化学療法を施行する上での効果予測因子として薬学的バイオマーカーの意義についての研究を行っている。これまでGEMの代謝関連物質:hENT1,RRM1やCDDPの耐性獲得関連物質: ERCC1の発現を免疫染色法を用いて評価し、これまで当教室で治療済みの症例において後ろ向き研究を行ってきた。hENT1はpositive regulatorとしてRRM1とERCC1はnegative regulatorとしての有用性を示す後ろ向き研究の結果を学術集会で発表している。 また、進行性・転移性膀胱癌患者から同意を得たのちに、手術材料を用いバイオマーカー候補物質の発現を調べ抗癌剤感受性の予測を行う前向き研究、‘進行性・転移性膀胱癌症例に対する標準化学療法(GC療法、Gem+Carbo療法)の効果予測因子に関する前向き研究’を当院倫理委員会の承認を受けた後に開始している。多施設共同研究として研究は開始されており、内容については、対象症例をFirst line chemotherapyとしてGC療法を行う評価可能病変を有する進行性・転移性膀胱癌患者とし、研究対象病理標本の採取と取扱いについては、臨床研究参加に関する同意を得た上で、治療・診断の際に得られた尿路上皮癌標本の一部を採取している。各種バイオマーカーの発現については、免疫組織染色および定量的RT-PCR法を用いてmRNAレベルを測定しており、これらのバイオマーカーの発現が予後予測因子となり得るか否かにつき統計学的に多変量解析を行う予定である。おおむね順調に研究は進んでおり現在21症例が本研究に登録されている。
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