[目的]ヒト末梢血γδ型T細胞の効果的増幅における基礎実験を目的とした。 [方法]γδ型T細胞増幅は健常ヒトドナーより採取・分離した末梢血CD3/TCRγδ陽性細胞を2メチル3ブテニル1ピロリン酸(2M3B1-PP:200μM)、インターロイキン2 (IL-2 : 100 U/mL)添加培地(+10%ヒトAB型血清)で行った。この培養条件を基本増幅法とし、この基本増幅法に加えIL-21、Visfatin、CD137刺激抗体それぞれの効果を以下の項目において比較検討した。①細胞増殖活性(MTTアッセイ、CFSEアッセイ)② TRAIL、FASL、TNFRSF9、NKG2A、CD94、NKG2D、Perforin、GranzymeB、TCRDV2、TNFα、IFNγの遺伝子・分子発現 [結果]①細胞増殖効果はIL-21、Visfatinが基本増幅法と比較し有意に高かった。②遺伝子・分子発現解析において、IL-21、Visfatin、CD137刺激抗体は共通して検討対象の遺伝子・分子発現(CD137刺激時のTNFRSF9除く)を有意に増加させたが、TRAIL、FASL、GranzymeBにおいて発現誘導効果が顕著であった。 [当該研究の意義]がん治療において免疫細胞療法は今後大きな役割を担っていくと考えられる。その治療効果の増強のため、免疫細胞の効率的な質的、量的増幅が求められている。当該研究の結果は、サイトカインの一つであるVisfatinがγδT細胞の増幅及び、がん細胞に対する傷害性増強において有用である可能性を示唆した。
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