研究課題/領域番号 |
24592415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60109759)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 免疫治療 / CTL / ワクチン / 抗がん剤 / 併用療法 |
研究概要 |
細胞治療との併用の可能な抗がん剤のスクリーニングでは、先ずはヒト由来リンパ球を用いた解析を中心として実施することとし、健常人リンパ球を用いたCMVペプチドに対するCTLを誘導して、抗がん剤のスクリーニングを行っている。2週間のペプチド刺激により、CD8+、CMVペプチドtetramer(+)陽性細胞がおよそ10-20%得られた。そこで、ソラフェニブ、ドセタキセル、シスプラチン、5-FU、ゲムシタビン、イレッサ等の抗がん剤を用い、抗がん剤のCTL活性に及ぼす影響を調べた。CTLを各抗がん剤のcmax濃度が含まれる条件下、CMVペプチドで刺激し、ペプチドに対する反応性を、細胞内IFN-γ産生能で検討した。その結果、既に成熟して反応性を持つCTLでは、反応の場においては、何れの抗がん剤も阻害効果を示さなかった。次に、CMVペプチドで誘導されたCTLのペプチドパルスLCLに対する反応性(LCLを腫瘍細胞の代用として)を指標として、各抗がん剤のcmax濃度、cmaxの1/10量を含む培地内で一週間培養し、CTLに対する抗がん剤の影響を検討したところ、イレッサ、ソラフェニブでは、cmax濃度においてもCTLのさらなる増殖に対して阻害効果は示さなかった。cmaxの1/10量では、イレッサ、ソラフェニブの他、シスプラチン、5-FUにおいても阻害効果は認められなかった。しかし、ドセタキセル、ゲムシタビンでは、何れの濃度においても、CTLの分裂増殖を阻害することが明らかとなった。 マウスモデル系の作成では、日本人に多いHLAタイプHLA-A24と同じアンカーモチーフを持つBalb/cマウスが適当と考えられ、通常のマウスに移植が可能なマウス由来腎細胞癌株RenCaを親株として、MN/CA9抗原の発現株が得られている。また、この株のBALB/cマウスへの移植により、CTLの誘導を確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者であった大学院生が退学したため。
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今後の研究の推進方策 |
・CTLを用いた免疫治療における抗がん剤の影響については、現在安定に誘導可能なCMVペプチドに対するCTLを用いて引き続き検討する。 ・また、本研究では、より有効な免疫療法を模索することが目的であることから、CTL誘導前にがんペプチドワクチンを接種し、よりがん抗原に特異的なCTLを誘導し、さらにvitroにおいてそのCTLを誘導することが可能になると考えられるため、新規抗原接種時における抗がん剤の影響も検討する。 ・患者リンパ球からのCTL誘導については、なかなか検者登録数が得られないため、泌尿器科以外の科の患者についても、広く対象とすることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同様、ヒト由来CTLの誘導と誘導されたCTLに対する抗がん剤の影響を検討するための試薬、物品の購入に充てる。 また、抗原接種時における抗がん剤の影響を検討するため、動物の購入と、免疫反応検討のための試薬の購入に充てる。
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