研究実績の概要 |
今回の研究ではペプチドワクチン療法の選択肢を増やすためにHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者に対する癌ワクチン療法に有用なEZH2由来ペプチド同定を行った。EZH2由来ペプチドは全てHLA- A3スーパータイプアレル分子に対する結合モチーフに基づき調整しHLAクラスI分子からの解離予測半減期に基づき計算された結合スコアより5種類のEZH2由来ペプチドを候補とした。次に5種類のEZH2由来ペプチドがHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者のPBMCからペプチド特異的CTLを誘導できるかについて調べた。具体的にはIn vitroにおいて各EZH2由来ペプチドまたは対照ペプチドにてPBMCを刺激し、刺激後の細胞が対応ペプチドをパルスしたC1R-A3スーパータイプアレル細胞に応答してINF-γを産生するかを調べ、その結果EZH2733-741ペプチドにより6人のHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者のうち4人のPBMCからペプチド反応性CTLが誘導された。次にIn vitroにおいてHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌患者由来のPBMCをEZH2733-741ペプチドにて刺激し、それにより誘導されたペプチド反応性CTLが前立腺癌細胞株に対して細胞傷害活性を示すことができるかを調べた。In vitroでEZH2733-741ペプチドにて刺激したHLA-A3スーパータイプアレル陽性患者由来のPBMCは、HLA-A3スーパータイプアレル陰性前立腺癌細胞株(LNCaP)およびHLA-A3スーパータイプアレル陽性幼弱化T細胞(PHA-blast)に対してよりもHLA-A3スーパータイプアレル陽性前立腺癌細胞株(LNCaP-A11,-A31,-A33)に対して高いレベルの細胞傷害活性を示した。
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