研究課題
本研究は、難治性疾患である間質性膀胱炎の病態に虚血がいかに関与しているかを解明する臨床サンプルを用いた解析を行い、虚血の関与を検討してきた。また、併せて膀胱間質の毛細血管内皮細胞のapoptosisに伴う虚血に着目した新規の間質性膀胱炎の動物モデルを作成してその排尿生理学的・分子細胞学的な特徴を詳細に検討し、モデルが確立した暁には治療実験を行うことを予定してきた。ヒト間質性膀胱炎サンプルを用いたRNA解析では、経尿道的手術に際して採取したIC患者の膀胱粘膜および膀胱癌患者の膀胱粘膜の非癌部からRNAを抽出・増幅し、TRPチャンネル、ASIC1、nerve growth factor(NGF)、chemokine ligand9 (CXCL9)、uroplakin3A (UPK3A)のmRNA発現量を測定し、ICの炎症反応の親侵害受容作用に関わっていると考えられるTRPM2をはじめとした遺伝子の発現増加が確認され、遺伝子発現変化の違いは、潰瘍の有無でその病態が異なる可能性が示唆された。VEGFA、eNOSといった虚血関連因子の発現上昇も認めたが、有意な差を認めなかった。また、尿中マーカーの検証も行ったが、測定条件の設定が難しく、研究期間中に測定系の確立をすることができなかった。並行してラット慢性膀胱炎モデルの確立を目指した。膀胱動脈血流遮断と膀胱内薬物投与によるもので、モデル作成後、少なくとも3か月間持続する頻尿、1回尿量減少、組織学的な慢性炎症を認めたが、モデルの致死率が高く、また尿流動態の評価では対照との有意な差異を認めず、研究期間中にはモデルの確立をすることができなかった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Aging Male
巻: 17 ページ: 112-116
10.3109/13685538.2013.771328.