研究課題/領域番号 |
24592423
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西松 寛明 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60251295)
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研究分担者 |
高橋 政夫 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00447418)
野宮 明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30372379)
鈴木 越 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40313134)
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, その他 (70167609)
新美 文彩 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00376451)
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キーワード | 脂肪幹細胞 / アドレノメジュリン |
研究概要 |
国内でも脂肪幹細胞や骨髄幹細胞の膀胱平滑筋、尿道括約筋の再生治療が盛んに報告されている。障害組織部位への幹細胞局所投与により、障害部位に生着、正常な分化誘導が行われることが確認されている。研究は海外でも同様であるが、泌尿器科領域における再生医療の成果は、主に平滑筋再生にフォーカスされているのが現状で、海綿体再生に関する報告は少ない。またこの脂肪組織由来の幹細胞が移植部位に生着し、正常組織に分化誘導されていることは示されてはいるが、その機序や組織修復に関するメカニズムに関しては未だに不明な点が多い。その状況の中で我々の研究がアドレノメジュリンというサイトカインを組織修復に関与する因子として同定した。 我々が着目している脂肪組織由来幹細胞(adipose-derived stem cells;ASC)はそのリソースである自己の皮下脂肪組織が局所麻酔下での吸引にて採取可能です。遺伝子的な倫理的制約も自家脂肪であることからありません。さらにASCの表面抗原は90%以上が骨髄幹細胞に一致していることが判っています。具体的にはCD29(+)CD90(+)といった間葉系のマーカーを発現していることから多彩な分化誘導能が期待できますし、大量に収集することが可能です。少なくまた少なくともラットのASCはCD34(-)CD31(-)であり、血管内皮およびEPCとも異なる点がユニークであり、ここに着目いたしました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.勃起障害モデルでの細胞修復機序の検討:各種サイトカインの組み合わせや発現ウイルスベクターを用いた修復機序の検討、抗VEGF抗体投与勃起機能や臓器再生機能の評価を行っていく。2.幹細胞のPDE5阻害剤併用効果の確認、幹細胞による分化誘導細胞の組織的解析:細胞接着因子の変化、NO合成酵素酵素(NOS)の変化、グアニルシクラーゼ(GC)活性の変化の評価を試みている。これは内皮、神経依存性NOSの両者の活性を評価する試みである。3.幹細胞のparacrine effectの解析(他のRAMP/PAMP family, Endothelin):ASCが分泌するサイトカインをDNA microarray 法で検討した結果、AM 以外にも勃起能を改善して海綿体構造を再生する可能性のある、ニューロメジンBなどの有力なサイトカイン候補を同定した
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではさらに主に糖尿病が及ぼす細胞老化は確実に進行している。今回、海綿体の器質的障害進行に、細胞老化(senescence)がどの程度関わるかを詳細に検討する。高齢者あるいは糖尿病患者の海綿体でsenescenceが進行するかどうか、またsenescenceが勃起能にどのような影響を与えるかに関しては、ほとんど研究は進んでいない。我々が明らかにしてきた海綿体組織を再生させる効果を持つ他のサイトカインだけでなく、近年注目を集めているtestosterone 補充療法がsenescence に対する予防効果を持つかどうか、またその機序を検討したい。
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