研究課題/領域番号 |
24592426
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
工藤 祥司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10313800)
|
研究分担者 |
吉良 聡 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (10530115)
羽根田 破 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (20402068)
小林 英樹 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50402053)
武田 正之 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80197318)
宮本 達也 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (80456459)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 膀胱上皮 / 機械受容体 / VNUT / ATP |
研究概要 |
尿路上皮がATPを分泌し、様々な膀胱機能を制御する。しかしながら、このATPの分泌機序は不明である。われわれは、尿路上皮が開口放出によってATPを細胞外に分泌していることを証明した。 このATPが、蓄尿相初期における様々な膀胱機能の調節をしている。培養尿路上皮細胞は、いくつかのATP分泌機序を有することが知られているが、弱い尿路上皮の伸展によって起こるATPの放出は、膀胱内圧測定上の初期尿意を起こしている可能性がある。 尿路上皮から分泌されたATPには2つの機能があり、いわゆる初期尿意を引き起こすこととおよび 膀胱コンプライアンスを増加させるように尿路上皮に作用している。 このようなATPの開口放出はVNUT(a vesicular nucleotide transporter)によって制御されている。たとえば、VNUT-KOマウスは初期尿意が欠如し、膀胱コンプライアンスが低いために頻尿であり、排尿する場所が一定しない。ヒトの膀胱内圧測定のパラメータのなかで、膀胱上皮でのVNUTmRNAの発現と相関関係のあるのは初期尿意のみで、負の相関を示した。 結論として、尿路上皮由来のVNUT依存性のATP分泌は、蓄尿相初期において膀胱機能を独立して制御する因子であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である「1)BTX-Aの膀胱壁内投与によって、膀胱上皮細胞、上皮下の神経細胞、および間質細胞のTRPイオンチャネルの発現が変化するか? 2)BTX-Aの膀胱壁内投与によって、膀胱上皮細胞、上皮下の神経細胞、および間質細胞からの伝達物質の産生が変化するか?」という疑問を解明するために、まず尿路上皮細胞におけるTRPの機能、TRP産生するATPの作用機序、分泌機序についての検討を行った。その結果、新規分子であるVNUTの膀胱蓄尿機能における重要性を示唆するデータを得た。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト膀胱平滑筋細胞、上皮細胞培養系、上皮下に存在する間質細胞(筋繊維芽細胞)の培養系の作成を行う。ヒト組織;インフォームドコンセントを得た上で、手術の際に摘出した下部尿路組織を用いる。 通常のexplant culture法によって作成する。上皮下に存在する間質細胞(筋繊維芽細胞)の培養系の作成は、レーザー顕微鏡システムを用いて行う。ヒトおよびラット下部尿路におけるENaC、TRPチャネルファミリ(TRPV1,TRPV4,TRPM8,TRPA1)のBTX-Aに対する反応に関する検討:ヒト組織はインフォームドコンセントを得た上で、手術の際に摘出した下部尿路組織を用いる。In vitroで、寒冷刺激によって上皮から放出される伝達物質(ATP、アセチルコリン)の測定、BTX-Aによる各種イオンチャネル(mRNA、蛋白質)の発現の変化を測定する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究の進行状況が当初の予定と若干異なるため繰越金が発生したが、上記研究計画に従って、主として分子生物学的実験、生化学的実験用の消耗品、試薬類に使用する。
|