研究課題
われわれは、治療に難渋する難治性の下部尿路障害に対して、Tissue Engineeringを基礎とした技術を応用し、機能的な下部尿路の再生を試みている。これまでに、凍結、あるいは、放射線照射によって傷害を与えた膀胱に、骨髄由来細胞を注入移植すると平滑筋層や神経細胞が再生され、排尿障害が改善することを報告してきた。しかし、細胞直接注入法は、培養期間中に産生された細胞外基質により単層を形成した細胞を球状の単一細胞として回収し移植に用いることから、単層状態の崩壊、細胞生存率の低下などの欠点を有している。そこで、本研究は、温度感受性培養皿を用いて細胞シートの作製を試み、傷害を与えた膀胱に細胞シートを移植することによって、機能的な膀胱が再生されるのかどうか検討した。ラットの大腿骨から、骨髄細胞を採取、初代培養を行い、培養皿に接着伸展した細胞を骨髄由来細胞とした。その細胞を温度感受性培養皿へ継代し、2日間培養を行った。2日後、温度感受性培養皿を十分に低温にした後、単層を維持した培養細胞をシート状で回収した。作製した骨髄由来細胞シートを放射線照射した膀胱の前壁にパッチ移植した。対照群には、無細胞シートを用いた偽手術を行った。細胞シート移植4週間後に、膀胱内圧測定、組織学的解析、遺伝子解析を行った。組織学的解析において、細胞シートを移植すると、膀胱組織の再生が認められた。また、膀胱内圧測定において、細胞シート移植群での膀胱の機能回復が認められた。以上から、骨髄由来細胞シートを放射線照射傷害膀胱に移植すると、機能的な膀胱が再生されることを示した。さらに、この膀胱再生機序に関与すると考えられる細胞成長因子を検出した。これらの研究成果は、第11回泌尿器科再建再生研究会にて研究会賞を受賞するとともに、学術誌Tissue Engineeringに採択された。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
LUTS
巻: 7 ページ: 50-55
10.1111/luts.12050
Neurourology and Urodynamics
巻: 34 ページ: 280-285
10.1002/nau.22543
Tissue Engineering Part A
巻: 21 ページ: 1600-1610
10.1089/ten.yea.2014.0592
International Journal of Urology
巻: 21 ページ: 1051-1058
10.1111/iju.12475
巻: 20 ページ: 1971-1979
10.1089/ten.tea.2013.0491
http://shindai-urology.hogepiyo.asia/faculty/medicine/chair/urology/