研究課題/領域番号 |
24592429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
水流 輝彦 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90625675)
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研究分担者 |
荒木 勇雄 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50252424)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50378452)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脊髄グリア細胞 / 間質性膀胱炎 / 過活動膀胱 / 下部尿路障害 |
研究概要 |
下部尿路(蓄尿)機能障害における脊髄グリア細胞を介した中枢性感作の関与を明らかにするために,ラットの下部尿路機能障害疾患モデル(間質性膀胱炎,過活動膀胱)の作成、および脊髄グリア細胞が活性化(形態学・免疫組織化学)を証明する実験を継続中である。 間質性膀胱炎による下部尿路機能障害疾患モデルの作成は、サイクロフォスファマイドの腹腔内投与によって行っている。サイクロフォスファマイドをラットの腹腔内に投与後の経過時間を設定し、設定時間経過後に脊髄を採取する。採取した脊髄のグリア細胞の活性化を特徴づける形態変化を観察するとともに,活性化マーカーの発現を各々のSham群との間で比較検討を行っている。 過活動膀胱や間質性膀胱炎などの下部尿路機能障害の病態解明と治療法の開発は,今日の泌尿器科学分野における重要な課題の一つである。病的慢性疼痛の原因とされる感作のうち、中枢性感作の発生と維持に欠かせない脊髄グリア細胞は、体性疼痛ばかりでなく内臓の知覚過敏においても重要な役割を担っていることが分かってきた。慢性炎症が基盤となる間質性膀胱炎において脊髄グリア細胞を介した中枢性感作が関与している可能性は高い。 したがって,膀胱における知覚過敏状態である間質性膀胱炎や過活動膀胱といった下部尿路(特に蓄尿)機能障害の発症に脊髄グリア細胞が関与している可能性は極めて高い。本研究の目的は,各種下部尿路機能障害の発生における脊髄グリア細胞を介した中枢性感作の関与を証明することである。本研究の成果によって,これまでとはまったく異なった新たな視点からの治療薬の開発に道が拓かれることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度中に間質性膀胱炎モデル、および部分閉塞モデルの作成。さらに上記疾病モデルの脊髄標本におけるグリア細胞の活性化の形態学的活性化、および活性化マーカーの発現の確認を予定していた。 今回まで当機関では共用の実験設備は有していたが、直接の実験場所を有していなかったため実験の開始にやや時間がかかった。また、初めての実験内容であったため手技の習得にも手間取った。 活性化マーカーに関しても数種類で検討を行っており、遅れの一因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
①ラット下部尿路機能障害疾患モデルにおける脊髄グリア細胞活性化の証明を引き続き行う。サイクロフォスファマイドの腹腔内投与による間質性膀胱炎モデル、部分尿道閉塞による過活動膀胱モデル群の脊髄(L6-S1)標本において,グリア細胞の活性化を特徴づける形態変化を観察するとともに,活性化マーカーの発現を各々のSham 群との間で比較検討する(形態学・免疫組織化学)。 ②脊髄グリア細胞を介した中枢性感作の膀胱機能(排尿反射)への影響の確認 ウレタン麻酔下での持続膀胱内圧測定を用いて,中枢性感作を生じさせる各種薬剤の髄腔内投与(L6-S1)によって正常ラットの膀胱機能(排尿反射)がどのように変化するかを検討する(in vivo生理・薬理実験)。引き続き薬剤の全身投与の効果:臨床的治療薬の開発を視野に,全身投与による薬剤の効果も確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度購入予定であった、抗体、免疫染色キット等を研究室所有のものを使用したため消耗品に充てる額が定額となったが、本年は購入の必要がある。実験機器に関しても研究室の使用費として支出予定である。また実験動物も引き続き購入が必要である。 旅費に関しても、実験初年度のため学会発表がなかったため繰り越しとなった。本年以降は学会発表を行っていく計画をしている。
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