研究課題
自然発症高血圧ラット(SHR)は排尿筋過活動と前立腺過形成を示すと共に膀胱および前立腺は慢性虚血を呈して居ることを確認した。雄性12週齢のSHR ラットに血圧は低下しないが骨盤内血流を増加さる薬剤としてニコランジル(ATP感受性Kチャンネル開口薬)、シロドシン(α1Aブロッカー)および塩酸ファスジル(Rhoキナーゼ阻害薬)を、膀胱および前立腺血流と増加させかつ降圧作用のある薬剤としてオルメサルタン(アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬;ARB)を6週間連日投与した。コントロールとしてWistarラット(膀胱)とWistar-Kyoto(前立腺)を用いた。薬物投与終了時に血圧測定(テイルカフ法)および膀胱と前立腺血流測定(水素クリアランス法)を行い薬物と血圧および骨盤内血流の改善について評価した。膀胱機能はメタボリックケージを用いた排尿動態と膀胱内圧測定(ウレタン麻酔下)および恒温槽を用いた膀胱平滑筋の収縮力の変化で評価した。前立腺については組織学的に過形成の改善を評価した。SHRの排尿筋過活動と前立腺過形成共通の発症メカニズムとして、骨盤内虚血が原因でSHRの膀胱および前立腺組織では酸化ストレスと炎症性サイトカインの産生の亢進が生じる。さらに、TGF-βやbFGFが誘導されると考えられた。これらの薬剤(ニコランジル、シロドシン、塩酸ファスジルやオルメサルタン)は排尿筋過活動と前立腺過形成を抑制した。これらの薬剤の共通のメカニズムとして骨盤内虚血の改善が考えられた。骨盤内虚血の改善により酸化ストレス、炎症性サイトカインの産生、TGF-βやbFGFの誘導が抑制され、膀胱機能不全と前立腺過形成を抑制しているものと考えられた。
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