研究実績の概要 |
52例を対象とし夜間頻尿が睡眠に及ぼす影響の検討を行った。対象症例の背景は前年度と同様である。 睡眠変数(睡眠効率、深睡眠時間)に排尿関連因子が及ぼす影響をみたところ、睡眠効率に関しては、夜間排尿回数が2回以上群、および夜間多尿症例が有意に睡眠効率が悪かった。年齢調節を行ったうえで、多変量解析を行ったところ、夜間排尿回数2回以上が独立した影響因子であった(ODDS:3.97、p=0.047)。深睡眠時間に関しては、夜間排尿回数2回以上、就眠後の第一排尿が睡眠周期2周期以内、最大尿流量率(全日)10mL/s未満が影響を及ぼしており、多変量解析では夜間排尿回数2回以上、最大尿流量率10mL/s未満が悪化の独立影響因子であった(夜間排尿回数:ODDS 8.8, p=0.047, 最大尿流料率 :11.2、p=0.013)。 平均一回排尿覚醒時間は平均36±24分でありであった。排尿覚醒時間に及ぼす影響因子(年齢、排尿量、夜間排尿回数別(1回目vs.2回目以降)、覚醒直前脳波、睡眠周期別、最大尿流率)の検討したところ、睡眠周期早期例は有意に覚醒時間が短かった(第1.2周期:25.4分、第3周期以降 44.7分 p=0.018)が、他は関連性を認められなかった。 以上より地域高齢者の睡眠の質を向上させるためには、夜間排尿回数の減少、排尿状態の改善が関与するものと推測され、中途覚醒に関しては、排尿関連因子が影響を及ぼさなかったことより泌尿器科治療より、睡眠薬導入などの内科的治療性が考えられる。
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