研究概要 |
当該研究では、ICモデルの確立とThymosinβ4の発現ならびに膀胱上皮障害との関連につき以下点を明らかにした。まず、ラット膀胱内にPS、HClを注入またCYPを腹腔内に投与することでICモデルラットを作成、組織中のThymosinβ4と膀胱機能との関連につき、in vivoでの検討を行った。雌性Wistarラットを用いてCYP200mg/kgを腹腔内に単回投与(急性間質炎症モデル)、CYP75mg/kgを1,3,5,7日の4回投与(慢性間質炎症モデル)の間質の炎症が中心のICモデルを作成した。同じくPS 10mg/0.2mlを雌性Wistarラットの膀胱内にPE50チューブを用いて10分間注入を行った(上皮障害型モデル)。0.4NHCl 0.2mlをラット膀胱に30秒注入した(上皮障害+間質炎症型モデル) CYP投与による急性期モデルでは2日後、慢性期モデルでは9日後、上皮障害モデル、上皮障害+間質炎症型モデルでは翌日に膀胱を摘出し、膀胱上皮の形態学的な評価を行った。HE染色、走査電顕、各種免疫染色を用い、膀胱上皮細胞の配列、プラーク形成、粘膜下層の厚み、粘膜下層や筋層への炎症細胞浸潤を評価した。ICモデルラットをウレタン麻酔下に膀胱内圧測定を行い、コントロールと比べそれぞれのモデルがコントロールに比べ排尿間隔の減少を確認した。今後、ラット膀胱上皮、間質細胞、筋層でのThymosinβ4の発現をコントロールラットおよび種々のICモデルで比較検討を行う予定であったが、一身上の都合により、当施設を辞することとなり、今後の研究継続が困難となり、科学研究費の継続を廃止することとなった。
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