研究課題/領域番号 |
24592444
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高 榮哲 金沢大学, 医学系, 准教授 (90283134)
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研究分担者 |
前田 雄司 金沢大学, 附属病院, 助教 (20377394)
杉本 和宏 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (70621837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | X染色体 / 男性不妊症 |
研究概要 |
研究の目的はX染色体の異常が男性不妊症の原因のひとつになりうることを証明し、母親由来の遺伝要因、言い換えればXに連鎖した男性不妊症の存在を証明することにある。具体的な内容は、当該年度では主にX染色体にある 1) ヒトでは精巣特異的に発現する遺伝子の当該研究に対応できるデータベース化を行う事 2) X染色体の不活性化(X-inactivation)機構に対して、精巣での発現を確認する事である。意義については、母親由来の遺伝要因が男性不妊症になる可能性があることを確認し、その診断に応用できる可能性を探る事である。重要性は、原因のわからない男性不妊症のひとつ原因を確定し将来への治療に繋げる可能性である。当該年度の成果は1)については、【バイオインフォマティックス】NCBI及び公開されているデータおよびゲノムアレイデータを検索した結果、X染色体由来遺伝子およびゲノムマーカーを多数収集し本研究に対応できる様にアノテーションデータベースを一部構築できた。2)については、【試料の調整と実験】精巣組織のステージ別に、資料を分類するとともに、臨床データを追加補強した。さらに、これらの試料に対してcDNAを作成した。X染色体分析にあたり、クラインフェルター症候群やXX male染色体の臨床サンプルを収集し、閉塞性無精子症患者の正常精巣試料も採取できた。実験にはにXIST((X-inactive specific transcript)という遺伝子を選択した。本来、正常男性では発現していないが、。XISTも微量ながら発現していることを確認した(PCRで30サイクルですでに発現する)。この事は、次年度実験の大きな足ががりとなった。当該年度における具体的な成果と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要における【バイオインフォマティックス】データおよびゲノムアレイデータを検索した結果、X染色体由来遺伝子およびゲノムマーカーを多数収集し本研究に対応できる様にアノテーションデータベースを70%ほど構築できたと考えられる。 【試料の調整と実験】精巣組織のステージ別の試料の収集はほぼ100%達成できたと考える。少なくとも当面の探索に必要なSertoli cell onlyの組織像から、正常精巣試料まで収集できた事である。また、特殊なさらに、クラインフェルター症候群やXX male染色体この試料を収集でき、すべての臨床情報およびcDNA及びゲノムDNAを作製できた。 【網羅的遺伝子変異解析】バイオインフォマティックス情報を基礎に網羅的遺伝子変異解析の準備を開始している。ゲノムの1塩基違いを遺伝子変異をマルチプレックスPCRを用いて準備し、その検出にはLuminexシステムを応用する。担体としてマクロビーズを作製するための至適条件の確定を行っている。現在、ビオチン標識プライマーを設計し、約60プレックスPCR産物を標識している。これによって、安定した遺伝子塩基配列の欠失、変異の検出系を確立する予定である。進捗は約30%である。初年度としては、概ね予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を基礎に【試料の調整と実験】では、倫理委員会で承認を得た男性不妊症約2,300例と妊孕性の証明されている健康男性400例ゲノムDNAを分析を開始する。これらのサンプルの染色体型、ホルモン値、Y染色体の微小欠失の有無、Y染色体ハプログループ分析、精液検査値、理学的所見がデータベース化されたものを用いる。特に無精子症、乏精子症、無動精子症などの男性不妊症症例を分類し、順次分析する。 【網羅的遺伝子変異解析】マイクロビーズの至適条件を確立を急ぎ、96ウェルプレート上で反応可能にし、Luminex®システムを用いる【ゲノムDNAコピー数】 次年度には、遺伝子発現に加え、ゲノムコピー数を臨床試料で確認する、準備を行う。特に、Luminexシステムでゲノムコピーの算定のシステムを構築し測定の能率化するシステムを開発する。具体的な方法としては、ゲノム標的に対するビオチン化アンプリコン産物を固相化蛍光マイクロビーズをアレイ化する技術の習得と安定したシステム下で能率的に算定できる系の確立する予定である。。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に購入予定であったプレミアサーマルサイクラーは、遺伝子発現およびゲノムDNAのコピー算定を次年度へも研究を継続することになり必要であるため、繰り越し分とし購入予定である。 次年度は【網羅的遺伝子変異解析】に対して、マイクロビーズの購入や【ゲノムDNAコピー数】算定安定化のため、Luminexシステムの試薬を購入する予定である。次次年度に向けた、技術確定のためである。
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