研究課題/領域番号 |
24592456
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
福井 淳史 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (00321969)
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キーワード | NK細胞 / NCR / IL-22 / NK22 / NCR22 / IFN-g / TNF-a / IL-23 |
研究概要 |
子宮内膜および末梢血における免疫担当細胞の機能分担と機能発現、すなわちNK細胞におけるNatural Cytotoxicity Receptor (NCR)発現、サイトカイン産生に焦点を絞り、これらの妊娠の成立および維持に関する役割を明らかにすることを目的として、NK細胞におけるNCR発現とサイトカイン産生とをつなぐNK22細胞の妊娠の成立・維持に対する役割について検討した。 これまでもNKp46とサイトカイン産生との関連が示唆されていた。このNK細胞におけるNKp46発現とNK細胞によるサイトカイン産生とをつなぐ鍵はNK22細胞にあると考えられる。このNK22細胞を測定し、NK22細胞の生殖・特に妊娠の成立・維持への関与のさらなる解明を試みた。まず細胞刺激方法による違いを明らかにするために、PMA、イオノマイシンを用いた刺激法とIL-23を用いた刺激法によるNK22細胞陽性率を検討したところ、両刺激法によるNK22細胞陽性率は有意な正の相関を認めた。昨年度、不育症では子宮内膜、末梢血双方においてNCR22細胞の割合が高いという結果を得た。この意義を明らかにするためNK細胞のサイトカイン産生能を検討した。その結果、子宮内膜、末梢血双方においてNK22陽性細胞率とTNF-α、IFN-γ産生NK細胞との間に有意な負の相関を認めた。さらにNK22細胞陽性率とNCRの一つであるNKp46陽性NK細胞との間に有意な負の相関を認めた。 また、真のNK細胞によるサイトカイン産生をみるために、男性リンパ球をもちいて、女性リンパ球を刺激し、フローサイトメトリーを用いてNK細胞のサイトカイン産生能を検討した。細胞同士は接触法、非接触法双方で検討したが、男性リンパ球を放射線照射により不活化した上での混合培養(接触法)により、NK細胞による良好なサイトカイン産生を測定し得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調であると思われる。本年予定したNK22細胞の発現については、末梢血および子宮内膜、また不育症患者、非不育症患者において結果が得られてきている。またNK細胞の新たなる細胞刺激法(不育症患者におけるリンパ球混合培養によるサイトカイン測定)も行い得た。しかし、NK細胞における血管新生因子についてはまだ測定できていないので、来年度に検討を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在行っているNK22細胞に関する検討を継続、さらにまとめるとともに、まだ行えていないNK細胞における血管新生因子に関する検討を行っていく。またNK細胞の新たなる細胞刺激法検討をさらに進めて検討症例数を増やしたい。これらの検討により不育症の病態の一端がさらに解明されると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費を消耗品購入、旅費、その他に充てたが、実験用試薬などの購入が急を要さなかったため、また人件費(実験補助)も必要としなかったため次年度使用へと回した。 次年度は予定通り、消耗品、旅費、その他、また要すれば人件費に研究費を充てる予定である。
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