子宮内膜および末梢血における免疫担当細胞が妊娠の成立および維持に関する役割を明らかにすることを目的として、以下の検討を行った。 原因不明不妊症と不育症患者における子宮内膜および末梢血NK22細胞および細胞内に発現するROR-γtについて検討した。ROR-γt 陽性NK細胞はIL-22産生NK細胞(NK22細胞)と正の相関を示し、ROR-γt陽性NK細胞はNK22細胞であると思われた。さらにROR-γt陽性NK細胞をNK46陽性細胞とNKp44陽性NK細胞とに分け検討すると、NKp46陽性ROR-γt陽性NK細胞がNKp44陽性NK細胞に比して有意に高値で有り、NKp46陽性ROR-γt陽性NK細胞が主たるNK22細胞であると思われた。またROR-γt陽性NK細胞はNKp44に比してNKp46をより強く発現していた。このNKp46陽性ROR-γt陽性NK細胞は原因不明不妊症群に比して、不育症群で有意に高値であった。 また流産脱落膜を用いた検討では、NK22細胞の割合をその後に施行した絨毛染色体検査において染色体異常を認めたものと、認めなかったものにわけて検討すると、NKp46陽性ROR-γt陽性NK細胞、IL-22産生NK細胞ともに、染色体正常流産群で有意に高値であった。すなわち、これまで私どもが報告してきたように染色体正常流産ではNK細胞の機能分担、機能発現異常があり、これを正常化させる(制御する)ためにNK22細胞が増加しているものであると考えられた。
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