研究課題/領域番号 |
24592457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西郡 秀和 東北大学, 大学病院, 講師 (40453310)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 産後うつ / レセプト / コホート |
研究概要 |
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)宮城ユニットセンターでは、平成24年3月初旬で、全体調査では母親の同意者数は約6500人、父親の同意者は約2700人を達成し、本計画である産後うつ解明を含む追加調査には、母親約2000人と父親それぞれ約600人からの同意を得られている。平成25年度中には、宮城ユニットセンターでは、計画通りに母親は9000人の登録が達成される見込みであり、このうち追加調査の同意を得られた方々を対象に、罹患と対象者の基礎特性・環境要因との関連および児童虐待、児の精神運動発達異常などの発育異常との関連を検討する。 東日本大震災発生と産後うつ発症に関する検討では、宮城県沿岸被災地域で震災直前から震災後8か月までに出産した褥婦677人を対象に行った結果、産後うつの割合は21%であった。関連要因として、褥婦の年齢、出生体重、津波への遭遇が抽出された。岩手県宮古市で震災後3か月以内に出産した褥婦72人と、震災前に出産した褥婦165人を対象に産後うつを比較した結果、退院時は10%vs29%、一か月健診時は2.6%vs8.1%であった。被災者(住宅全壊・半壊)24人に限定し検討すると退院時は54%、一か月健診時14%であった。被災者のうち、経済不安29%、住環境不満63%を示した。 日本医療データセンターのレセプトデータを用いた検討においては、産後うつの同定および産後うつに関連する要因解析のために、妊娠期間の同定および母子・夫婦関係の同定を試みた。妊娠期間の同定は、生のレセプト傷病名欄に妊娠週数が記載されている女性を抽出し、その傷病名の診療開始日と組み合わせることで可能とした。また、母子・夫婦関係の同定は、レセプト上のデータに加え、健康保険組合の有する保険資格取得情報および世帯情報を組み合わせることで、母子・夫婦関係の同定が可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エコチル調査の全体調査は順調に目標数を達成しつつある。追加調査は説明者の約60%の同意を得ているが、さらに同意率を高くするのが課題である。大震災との関連は、ほぼ解析が終了している。レセプト等を用いた検討においては、妊娠期間および母子・夫婦関係の同定を可能とし、本邦で初めて、レセプトデータ等を用いた産後うつに関する検討の実現可能性を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
エコチル調査の追加調査の内容の重要性を理解していただき、同意率を高くする。 レセプト等を用いた検討においては、産後うつの頻度の算出に加え、母または父の産後うつと関連する要因に関する解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である
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