研究課題/領域番号 |
24592457
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西郡 秀和 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40453310)
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キーワード | 産後うつ / 東日本大震災 |
研究概要 |
両親の産後うつとボンディング障害の検討(エコチル追加調査);子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)宮城ユニットセンターでは、全体調査では母親の同意者数は約9200人、父親の同意者は約4000人を達成した。本計画の追加調査には、母親約3800人と父親それぞれ約1400人からの同意を得られた。ボンディング障害の指標である赤ちゃんへの気持ち質問票で高値(7点以上)を示した割合は、生後1か月では父親6.9%・母親3.9%、生後6か月では父親3.5%・母親2.4%であった。父親は母親に比較して、ボンディング障害の割合が高い傾向であった。 東日本大震災と産後うつ;岩手県宮古市における退院時の産後うつ割合は、震災前群(9.9%)に比較して、震災後0-3月群(31.4%)は高かったが(P < 0.0001)、震災後4-6月群(10.1%)では有意な差は認めなかった。「自宅の破壊」と「環境不満」が産後うつとの関連を認めた。産後一か月の検討では、震災前群と震災後0-3月群(7.1%)は有意差を認めなかった(P =0.07)。一方、宮城県における震災後約8か月後の産後うつ割合は21.3%であった。岩手県宮古市での産後うつが低い理由として、震災前より周産期メンタルへスに積極的に取り組み、震災後も積極的に活動を継続できたことが推定される。 レセプト;日本医療データセンターが保有する健康保険加入者(2005年1月1日~2011年6月30日)約90万例を検討した。分娩日が判明した母親は11,780件であり、産後1年間まで追跡が確認できた母親は845件であった。このうちICD-10で精神及び行動の障害(F00-F99)と診断された件数は妊娠期0.71%、分娩期0.24%、産後1年以内0.59%であった。向精神薬の処方件数は妊娠期3.43%、分娩期10.3%、産後1年以内0.59%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宮城ユニットでのエコチル調査の全体調査参加者は順調に目標数を達成した。 東日本大震災と産後うつのテーマは、すでに解析を終了し、論文を2稿投稿中である。 本邦で初めて、レセプトデータ等を用いて妊娠中・産後の精神及び行動の障害の割合と処方件数を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
エコチル調査の追加調査参加者の質問票回収率が約80%前後である。回収率を上昇するため、最新の解析データの提示など参加者への理解を求める方策を進める。蓄積されたデータをもとに、産後うつと関連する因子抽出の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 次年度使用額は、平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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