研究課題/領域番号 |
24592458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 昌利 東北大学, 大学病院, 助教 (00451584)
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研究分担者 |
松田 直 東北大学, 大学病院, 准教授 (50361100)
菅原 準一 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60280880)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 妊娠ヒツジ / 子宮内炎症 / 胎児皮膚組織 / 炎症性サイトカイン |
研究概要 |
当初の計画では、妊娠110日前後(満期:145日)に胎仔の皮膚細胞採取を行い、皮膚細胞の培養を行う予定であったが、そのプロセスまで到達できなかった。これはヒツジを交配し妊娠を計画的に行う夏期に外気温が非常に上昇したことにより、ヒツジが妊娠に至らず、当初の予定よりも妊娠ヒツジの供給数が少なかったことが原因の一つと考えられる。また、妊娠ヒツジとして供給されたヒツジにおいても、子宮内胎児死亡や子宮内胎児発育遅延によって予定の実験が行えなかったことも要因の一つと思われた。しかしながら、供給された妊娠ヒツジを用いて、子宮内炎症モデルを3例作成し、それらの胎仔より皮膚組織(主に胎仔の耳介)を採取、保存することができた。この子宮内炎症モデルは平成25年度の計画に記載されている方法を用いて作成した子宮内炎症モデルである。つまり、胎仔にカテーテルを留置する手術を行い、その後、そのカテーテルを介して胎仔に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤を投与し、その後、初回手術時に羊水腔に留置したカテーテルよりリポポリサッカライド(LPS)を投与し作成したものである。当初の計画では妊娠102日での初回手術、また妊娠110日でのサンプル採取を予定していたが、今回サンプリングできた3例においては、推定妊娠90日台、妊娠80日台、妊娠70日台と当初の計画通りの妊娠日数ではなかった。これは、先述した夏期の気温上昇がその一因と思われた。しかしながら、妊娠ヒツジを用いて子宮内炎症モデルを作成し、その胎仔より皮膚組織を採取できたことは、子宮内炎症と皮膚成熟過程の解析へのワンステップであり、今後、その皮膚組織を分子生物学的に解析することによって、炎症に対する皮膚組織の反応、皮膚組織からの各種サイトカイン発現、ならびにそのサイトカインが与える影響の解析へと関連づけられると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の現在までの達成度は、やや遅れている。その理由として、本年度は妊娠ヒツジを予定通りに入手することが出来なかったことが最大の理由と考えられる。通常、飼育ヒツジは夏期に交配を行い、冬期に向けて妊娠継続を行うが、昨年の夏期は非常に暑く、妊娠ヒツジを供給する飼育農家より、交配がうまく行われず例年よりも妊娠したヒツジの数が少なかったとの報告を受けている。また、夏期に妊娠したにもかかわらず経過中に何らかの理由で子宮内胎児死亡や、子宮内胎児発育遅延、あるいは自然流産を発症し、その後計画的ではなく自然妊娠しているヒツジもいる可能性が否定できず、本研究に用いる際に明らかに予定よりも小さい胎仔を実験に用いざるを得ない場面があった。そういった理由から、本年度は計画通りにサンプルを採取できず、相対的に「やや遅れている」という評価になった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究進捗状況を鑑み、平成25年度以降は、なるべく計画通りに実験を遂行するために、より確実に予定した妊娠日数の妊娠ヒツジを入手する必要があると思われる。そのために、契約牧場における確実な妊娠の確認、同妊娠日数のスペア用妊娠ヒツジの供給を依頼する予定である。また、実験をシリーズとして行う前に契約牧場に赴き、超音波検査を用いて自らの手で妊娠の確認、かつ胎仔の大きさより妊娠日数のチェックを行い、選定した後、実験に用いることも計画している。また、実際に麻酔をかけ開腹後に妊娠していないことや、胎仔が予定よりも非常に小さい子宮内胎児発育遅延であることが判明する場合、麻酔薬剤、麻酔のための資材、手術に用いる資材、カテーテル作成に用いる資材が無駄になってしまうことがあるため、麻酔をかける直前に再度超音波検査にて胎仔の存在と大きさの確認を行い、できうる限り資材の無駄な消費を防ぎたいと考えている。これらの方策を施行しより確実に実験用の妊娠ヒツジを入手できれば、平成25年度は予定しているin vivo実験を増やすとともに、平成24年度に予定していたin vitro実験のための皮膚組織採取もその数を飛躍的に伸ばせると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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